計画通りにできない、停滞している時は
「今日一日できることをやる」

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 客観的な視点で物事をみるのが得意というが、漠然とした不安が湧き起こることはないのだろうか。

 疑問に思ってそう尋ねると、「それはあります。40歳くらいになってからですね」と為末さん。年下世代がどんどん活躍していくのを目の当たりにし、自分はやりたかったことがどれくらいできたのか、社会に貢献できたのか、と不安になる時があるという。
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 将来に対して不安を感じた時は「がんばるしかないか」と自分に言います。

 特に人って自分以外の人間が世の中でインパクトを出していると気になることがありますよね。かといって自分がそれをやりたかったのか? と問われればそうでもなかったはずなのに、色々考えてしまう。悩む時は「自分が選んだのはこの方向だから、これ以外の選択肢は捨てたんだから」と、考えるようにしています。

 アスリートの多くは「目標を立てる→計画をする→実行→結果が出て反省→次の目標を立てる」というサイクルで動いています。未来を見る“逆算思考”なんですね。私も25年間の競技生活でそのサイクルが体にしみついています。

 でも計画通りにできない時や焦りを感じる時、また停滞していると感じる時は「今日一日できることをやる」「寝る前に明日何をやるか考える」という“積み上げ思考”に切り替えるといいかもしれません。今日の達成感に注目し、臨機応変に計画を変更するということです。

年齢を重ねても「予想外の結果」を
生み出すためにすべきこととは

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 最近、為末さんは「想像しない自分」になるために取り組んでいることがある。

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 年齢を重ねてさまざまな経験をしていくと、未来を想像し、想像の範囲内に自分をおさめてしまうようなところがないでしょうか。これをすると、きっとこういう結果が起きる――といった具合に先を読んでしまうのです。「想像の範囲内に自分をおさめる」ということは、大きな自分にはなれませんよね。だからこれを外したい時も、積み上げ思考、「今に夢中になる」ことが大切です。

 でも年をとると、そもそも「夢中になれる」経験が少なくなってしまう。だから個人的には今、ジムに通って運動を指導してもらっているんです。元々陸上競技をされていた方がトレーナーで、私に対してとてもやりづらそうに筋トレや走ることを教えてくれます。それはそうですよね(笑)。けれども自分のやり方では、これまで学んできたことでしか練習できません。

 一方で誰かから言われたことを「その通りにやる」ことは、“想像しない自分”になるのに大事な気がしますね。想像しない自分とは、「予想しなかった結果」を生み出すことにもつながります。

 ですからこの記事に書いていることをぜひ1個でも2個でも実践してみてください。新しい自分との出会いがあるかもしれません。

 次回は、がんばっても「結果が出ない」「頭打ち」と感じるベテラン社員の方に、メッセージを送れたらと思います。

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【第3回】「40代で「老害になる人」と「必要とされ続ける人」の決定的な違い」は9月5日(金)に配信予定です

元陸上選手の為末大さんは、陸上競技では「10年で(自己ベストが)ピークに到達する」といいます。自分のスキルが伸び悩んだ時、どうすればいいのか聞きました。