当時、ゴンチャ以外にも全国各地に数え切れないくらいタピオカ店がありましたが、次々と閉店しました。日本からタピオカの店は消えたんじゃないかと思うくらい見かけなくなりましたが、ゴンチャだけは生き残りました。
そこには、視点を変えた戦略があったと私は思います。
「タピオカ」だとすでに消費者に飽きられていますが、「アジアンティー」は新しく、まだ市場を拡大する余地がありました。というのも、タピオカはお茶やミルクなどのドリンクのトッピングとして提供されるのが一般的だからです。であれば、「タピオカ」ではなく、「アジアンティー」として商品の魅力を再定義すればいい。
タピオカで一世を風靡したゴンチャでしたが、視点をタピオカからお茶に変えたことで、新たなお客さんを呼び込み、今では全国で160を超える店舗を展開しています。
異業種や他社のやり方も
視点を変えれば問題解決に役立つ
一流企業では「視点を変える」ことの有効性は広く認識されています。
トヨタ自動車出身の作家で、マーケティング会社の経営者でもある原マサヒコ氏は著書『どんな仕事でも必ず成果が出せる トヨタの自分で考える力』(ダイヤモンド社)のなかで、「視点を変える」「視点をずらす」というキーワードが同社内でよく使われており、それがトヨタを国際競争力のある会社に成長させた要因の1つであると述べています。
トヨタの在庫管理システムとして有名な「カンバン方式」(編集部注/必要なものを必要な時に必要なだけ作ることを目的とした生産管理方式)も、もともとはアメリカのスーパーマーケットが実施していたものを取り入れ、独自に発展させたものなのだそうです。
つまり、自社のやり方や考え方にこだわらず、異業種も含めた他社のやり方に「視点をずらして」みれば、自社の課題解決に役立つ事例が見つかります。それらを柔軟に取り入れることで、発展していったわけです。