オカダ・カズチカ(右)と棚橋弘至。2025年11月9日撮影 Photo by Etsuo Hara/getty Images
新日本プロレスが今、アツイ。格闘技ブームに押され、内部混乱に陥った“暗黒期”を乗り越え、年間観客動員数は28万人に急回復している。倒産寸前の危機的状況から、奇跡的に復活を遂げた舞台裏に迫る。(敬称略)※本稿は、「週刊ダイヤモンド」2014年12月13日号の第2特集をデジタル化したものです。全ての情報は雑誌掲載時のまま。
ファン離れを打ち破った
脱“殿様商売”と多角化
2014年11月下旬、東京・後楽園ホールは、外の寒さを吹き飛ばすかのような、熱気と興奮に包まれていた。この日開かれていたのは、新日本プロレスリングの試合。会場には2000人の観客が押し掛け、超満員となっていた。
リングサイド席には若い女性が陣取り、一眼レフカメラでマッチョなイケメン・棚橋弘至の姿を追い掛けているかと思えば、セクシーな動きで魅了する中邑真輔が大きく背中を反らせると黄色い歓声が飛び、オカダ・カズチカがさっそうと両手を広げれば盛大な拍手が湧き上がる。
試合が終わっても観客たちの興奮は冷めやらず、グッズ売り場ではタオルやTシャツを買い求める人々がずらりと列を成していた。
今、新日本プロレスが再び脚光を浴びている。1月4日に開催された東京ドーム大会では3万5000人を動員。地方会場でも満員御礼が相次ぎ、チケットが入手困難な試合も珍しくない。
1972年にアントニオ猪木が創設した新日本プロレスは、現在、参戦選手約60人、年間120試合を開催するプロレス業界最大手だ。2014年7月期の売上高は22億6000万円。わずか3年間で倍増するなど、急成長を遂げている。








