親族間の争いを事前に回避する方法はあるか
はたから見れば「その程度の金額で親族が不仲になっても……」と思うかもしれない。でも、「親の介護をしたのは自分だから、多くもらうのは当然」という主張は理解できるし、実際によくある。だが、親の介護への貢献度に合わせて分けるにしても、不動産は現金のようにきれいに分けられないし、売れるまで最終的な価値は分からない。親族間で話がこじれる理由はだいたいこれだ。
第一の対策は、親の考えを生前に確認しておくことである。日頃から身の回りの世話をしてくれている長男に厚く残したい、それはやまやまだが、次男が納得しないと思うと均等に分けるべきなのか……。そうした悩みを含めて親の意向を確認しておこう。親が子どもへの相続財産の配分を決めかねているのであればなおさらだ。
親を交えた話し合いで、いったんは兄弟間の分配割合がまとまったとしても、いざ相続が始まると、取り分の少ない次男が「均等に分けるのが筋だ」と意義を唱えることは普通にある。なので、相続前に話し合った合意内容は、親に遺言書に残してもらうようにしておこう。
合わせて「遺留分の先払い」を行うのも一案である。これは、親が生前に遺留分相当額を次男に贈与しておくことで、あらかじめ「最低限の配分は確保されている」という信用を得て相続後の争いを防ぐ方法だ。遺留分とは、相続人が「最低限もらえる財産」を民法が保障するもので、たとえ遺言書に「全て長男に渡す」と書かれていても、他の相続人にも取得が認められる最低割合をいう。請求できるのは、原則として被相続人の配偶者、子、父母のみ。
ただし、現金で渡す必要があるので、受け取った子には「贈与税」が発生する(※3)。さらに、遺留分は税務上「特別受益」として扱われる可能性があるため、親は遺言書に特別受益でない旨を記載しておく(※4)。
※3 親からの贈与額の2500万円までが非課税となる相続時精算課税制度を利用する節税法もある。専門家に要相談
※4 特定の相続人が受けた遺贈や贈与などによる特別な利益