郊外の住宅で今後も地価上昇が続くと相続税は?

 仮に、来年以降もこのまま地価が上昇していくと相続税はいくらになるのか。2025年の東京都多摩市の駅徒歩圏内住宅地の路線価を例に取って、116㎡(約35坪)の土地の相続税額をシミュレーションしてみよう(図表3)。一つは、図表2に示した多摩地区主要駅付近から少し離れた徒歩圏内の住宅地の地価上昇率を4%と想定した例、もう一つは、東京都全体の地価上昇率から8%を想定した例を使用する。相続の内容は次の通り。

■相続の内容
・被相続人:父(85歳)、母(配偶者)は他界
・相続人:子ども2人(兄弟)
・土 地:116㎡(約35坪) ※住宅建物の価値は除外
・路線価:24万円/㎡  ※東京都多摩市一ノ宮2丁目(京王線「聖蹟桜ヶ丘」駅徒歩圏内)の2025年の路線価の例
・預 金:1000万円
・その他の資産:なし
・基礎控除額:4200万円  ※3000万円+(600万円×相続人2人)

 路線価で算出した土地評価額は2784万円(24万円×116㎡)。来年以降地価が4%上昇した場合の評価額は2895万円、8%上昇すると3007万円だ。相続税の基礎控除額は、法定相続人(ここでは子ども)が2人の場合4200万円。つまり、この相続の例であれば、相続税は非課税となる(住宅の価値は除外)。ちなみに、課税されるのは地価上昇率が15%以上の場合、もしくは、土地面積が134㎡(約40坪)以上ある場合だ。

 相続税が掛からないならひと安心――。そうかもしれないが、ここで別の深刻な問題が生じることが多い。一般的な家庭の相続の場合、主な相続財産が不動産、その他保険金のほかに退職金の残りの現金が少々……というパターンが典型的だ。

 先の事例の場合、土地に相続税は掛からないのでその分の持ち出しはなく、売却できればまとまった現金収入になる。子どもたちが相続の前に土地がいくらで売れそうかを試算し、いざ相続となった時――兄弟姉妹でもめるという話を聞いたことはないだろうか。

 筆者の周りでは結構あった。相続人である子どもたちというよりも、その配偶者たちが黙っていない。「お兄さんはいくらもらうの?」「土地を売ったらこれぐらいになるから、半分はきっちりうちがもらわないと」とけしかける。中には相続後、さんざんもめた挙げ句に兄と妹が弁護士を立てて争っているケースもある。往々にして、残りの数百万円をどう分けるかで骨肉の戦いが繰り広げられていることが多いのだ。