キン消しの生産は終わったが家は建った

――それだけやったら会社はもうかるんですか?

先代 う~ん、もうかったっていっても外注加工費が高くて。税金も高くなっちゃって。売り上げ的には上がるけど、自分の手元に残るのは案外はなかったみたいな。

――今はカプセルを作られているんですよね?

工場内の様子工場内の様子

孝一 元々、「キン消し」みたいな色のついてないものを国内で作ったんですけど、90年代中盤ぐらいから中国でもそういったものを作るようになったんです。でも向こうは人件費が安いから彩色したものを作れるんですよね。そうすると見た目もいいからどんどん中国に進出していく。国内の塩ビの成形は減っていって、最後はもうやらなくなったんです。

――カプセルみたいなものは全部外国で作ってると思ってました。

孝一 ここ以外でもいろんなところで作ってますね。メジャーなメーカーさんは基本海外で完成させるので、海外でカプセルも作りますけど。まだ小さなメーカーさんやイベント会社さんだったりとかは国内で調達してるところも多い。

――えっ、もしかして今ガチャガチャって、増えてるんですか?

孝一 ベンダー商品とかカプセルトイとか言いますけど、第1次ブームが「キン消し」で、今は第5次ブーム※って言われていますね。

先代 今は組み立てのお鍋だとかレトロなものとかね。色んな種類がありますよね。

孝一 カプセルトイを販売してるメーカーさんも第1次だとバンダイとコスモスと…と数えるほどでしたけど、今はもう何社あるのかわからないぐらい。個人で作って販売したりもできますし。

※第1次 80年代キン消しなど→第2次 90年代フルカラーフィギュアなど→第3次 2012年前後サブカル系・コップのフチ子さん→第4次 2020年前後のインバウンドなど→第5次はこれという要因は見当たらなかったが大人の購買が定着したのか市場は大きくなっているそうだ。

鍬形拓男氏

――キン消しを作ってた頃はこういうものがずっと続くだろうなって感じだったんですか?

先代 いやあ…ブームはやっぱりね。下火になるのはありますから。下火になっちゃうと、もう本当、火が消えたみたいになってね。

――キャラクターものは人気の移り変わりが激しそうですよね。やってよかったなという商品とかありました?

先代 もう忙しいのに追われて(笑)。とにかく忙しかったですから。それも4、5年じゃなくて何十年ですからね。そりゃあ外注さんはみんなもうかりましたよ。うちは外注加工費と税金いっぱい取られて。で、給料もいっぱい払った。

 すごい量だったね。給料(袋)がね、ポンって立った。それくらいですね。あとは家を買えたっていうことですね。