
米鉄道旅客公社(アムトラック)の高速列車「アセラ」の新型車両が運行を開始した。しかし問題が一つある。新型車両のスピードが今のところ旧型より速くないのだ。
5編成の新型車「ネクストジェン・アセラ」は28日に運行を開始。これは、首都ワシントンとボストンを結ぶ主要路線のサービス改善に向けた総額24億5000万ドル(約3600億円)の計画の一環だ。しかし、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が28日の時刻表を調べたところ、そのうち2編成の列車については、同じルートを走る旧型列車よりスピードが遅いことが分かった。時刻表によると、この2編成の新型列車が全区間を走行するのにかかる時間は最低7時間5分で、旧型の平均6時間56分より長い。
アムトラックによれば、新型列車のスピードを遅くしている要因は、線路や架線、分岐器、信号といったインフラだ。アムトラックの「北東回廊線」は100年以上前から使われている。アセラが走行する線路は、通常の通勤列車や貨物列車が使っているものと共通であり、欧州やアジアで見られる高速鉄道用の近代的な線路ではない。
車両メーカーによると、新型車両の最高速度は時速160マイル(約260キロ)で、旧型より10マイル速い。しかし、アムトラックのインフラが古いため、走行区間の一部でしか最高速度で走れない。アムトラックは以前、新型車両の導入によりニューヨーク市-ワシントン間の所要時間が20分短縮され、2時間半程度になる可能性があると述べていた。