ベストセラー『「悩まない人」の考え方』著者の木下勝寿氏が「マーカー引きまくり! 絶対読むべき一冊」と絶賛する本がある。『スタートアップ芸人 ── お笑い芸人からニートになった僕が「仲間力」で年商146億円の会社をつくった話』だ。18年連続増収増益・年商146億円の企業FIDIAを率いる著者・森武司氏が本書で語るのは、「事業において一番大切なのは“仲間力”だ」というメッセージ。では、その仲間力は現場でどのように発揮されているのか。優秀な部下が辞めてしまう上司に足りないものは何か。今回話を聞いたのは、FIDIAグループのFIDIA SOLUTIONSで営業を務める岡田将司氏。3度の転職経験を持ち、多くの部下を育ててきた岡田氏に「部下の“やりたい”を引き出す方法」を聞いた。
(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

優秀な部下に辞められる上司が勘違いしていること・ワースト1Photo: Adobe Stock

会社は「夢を叶える場所」であるべき

――岡田さんは、これまで多くの部下を育ててきたそうですね。部下の可能性を引き出すうえで、大切にしていることは何でしょう?

岡田将司(以下、岡田):その前に少しだけ会社の紹介をさせてください。

僕が所属する FIDIA SOLUTIONSは「正社員型」の人材派遣事業を行っています。登録型派遣とは違い、正社員として雇用した上で派遣する仕組みです。

僕たちが目指しているのは「人が辞めない人材会社」。
キャリアアップのチャンスも多く、経験を積んで能力を磨きながら成長できる。
だからこそ僕は、会社を「自分の夢を叶える場所」にしてほしいと考えているんです。

実際にこれまでたくさんの部下を昇進させてきました。

部下の「やりたいこと」を可視化する仕組み

――部下の“やりたい”を引き出すために、最初に取り組んだことは何ですか?

岡田:まず伝えたのが「僕は部下を昇進させるのが趣味なんだよ」という言葉でした。
「だから遠慮せずに相談して。やりたいことを教えて!」と伝えたんです。

上司にキャリアの相談をするのって、どうしてもハードルが高い。だから僕のほうから壁を壊した。
その結果、相談件数は一気に増えました。

――具体的にどんな相談が多かったのでしょう?

岡田:部下全員に夢や目標を具体的に聞きましたが、「営業担当になりたい」「今年中に昇進を目指したい」など仕事に直結するものもあれば、「彼女をつくりたい」なんてプライベートな夢もありました(笑)。

それらをチャットワークの概要欄に書いてもらったんです。
そうすれば僕から「役立ちそうな情報」を共有したり、「希望の役職を体験できるチャンス」を紹介しやすくなる。
結果として、一人ひとりが自分の夢に近づくサポートができました。

「承認」と「傾聴」スキルを全員に

――組織全体で「人が辞めない文化」をつくるための工夫はありますか?

岡田:役職者向けに研修をつくりました。
僕自身、カウンセリングを学んでいたので「承認」と「傾聴」のスキルを中心に教えています。悩んでいる部下にどう向き合うか、どう寄り添うか。それができるリーダーが増えれば、組織全体として安心して働ける環境に近づきます。

この研修は社内でも好評で、現在では正式な研修制度として取り入れられています。

「できること」より「やりたいこと」を伸ばす

――最後に、この記事を読んでいる上司やリーダーに伝えたいことは?

岡田:上司が勘違いしがちなのは「できることをやらせるのが最善だ」という思い込みです。でも、本当に大切なのは「やりたいことを聞く」こと。

できる・できないで評価されてきた人も、やりたいことを引き出し、挑戦の場をつくれば必ず変わります。

そうやってキャリアアップした人は自然と「この会社で頑張ろう」と思えるようになるんです。

――確かに、できることに頼るより、やりたいことを引き出すほうが部下の可能性を広げますね。

岡田:森社長も著書『スタートアップ芸人』の中で「事業において一番大切なのは仲間力」と語っています。

僕が実感している“やりたいを引き出す”考え方も、そこにつながっていると思います。

人を辞めさせない組織をつくりたいなら、まずは相手の夢を聞くことから始めてみてほしいですね。

『スタートアップ芸人』は、上司の立場でも、働く側の立場でも、きっと参考になると思います。

(本書は『スタートアップ芸人 ―― お笑い芸人からニートになった僕が「仲間力」で年商146億円の会社をつくった話』に関する特別投稿です。)