秋からは志望校を意識
「無理なく無駄なく」
夏期講習が終わると、9月以降は模試が増加し、過去問演習も本格化します。この時期にさらにギアを上げるために重要なポイントが2つあります。
1つは、今後は「志望校」を明確に意識し、「無理なく無駄なく」という方針で最短距離を見つけることが重要だということです。これまでは比較的漠然と勉強に取り組んできたかもしれませんが、秋以降は、そうはいきません。
「無駄なく」というのは、具体的には、子どもが受ける予定のない学校にのみ必要な勉強や、子どものレベルにとって不要な問題、出題可能性が低い分野を少しずつ削っていくことです。限られた時間を効率的に活用するために、この取捨選択は必須です。
一方、「無理なく」というのは、実力に見合わない(階段の)「五段飛ばし」のような勉強を避けるということです。
たとえば、基礎が固まっていないのに、一足飛びに、過去問や応用問題ばかりに取り組ませたがる保護者がいます。難しい問題が解けるようになれば、基礎もそのなかで身につくだろうという考えからなのだと思いますが、基礎なくしていきなり応用が解けるようになることは絶対にありません。足元を固めることは最後まで必要な作業です。
「無駄なく」と「無理なく」の両輪をバランスよく見据えることが重要です。特にお盆を過ぎた時期からは、ひとりひとりの子どもの学力に焦点を当てた適切な指導を行うことがこれまで以上に求められます。
第2のポイントは、「帽子からウサギを出す」ような魔法の勉強方法は存在しないと理解することです。どんなに高名な塾の超一流の講師にもそれはできません。そんな方法があると主張する指導者は疑ってかかるべきです。
子どもにとっての最短経路は必ず存在しますが、残念ながら最短になっていないケースも多く、ギャンブルのような状況に陥ってしまうことがあります。
また、この延長線上にあるよくある失敗パターンとして、noteやX、YouTubeなどで発信された個人の特殊な経験を一般論として鵜呑みにしてしまうケースがあります。塾講師風の人物によるブログや配信も同様で、情報の信憑性を慎重に判断する必要があります。