
サントリー会長の「サプリ」購入問題、ENEOS子会社社長がセクハラ、大王製紙会長がカジノ……大企業トップの不祥事が起きるたびにSNSは大騒ぎになるが、今年の夏、世界中に拡散した特大級の不祥事をご存じだろうか。英ロックバンド、コールドプレイのライブ中に、米国テック企業のCEOが不倫デート現場をすっぱ抜かれ、インターネットで世界中に拡散。ネットミーム化するほどバズりまくり、CEOは辞任に追い込まれたのだ。後任のCEOが繰り出した、天才的な反撃PR手法とは……?(コラムニスト 河崎 環)
会社のトップの不倫シーンが、コンサート会場で大写しに
この夏、全世界のソーシャルメディアを席巻した事件といえば、筆頭に上がるのが「コールドプレイゲート」事件だろう。
7月16日、マサチューセッツ州フォックスボロのジレット・スタジアムで開催されたコールドプレイのコンサート中、会場の巨大スクリーンに男女のカップルが映し出された。男性は、データ追跡ソフト企業「アストロノマー」の元CEO、アンディ・バイロン氏。女性は、同じ会社で元人事部長のクリスティン・カボット氏。妻も子もいるバイロン氏がカボット氏をバックハグ(背後から手を回して抱きしめる)して寄り添う姿がスクリーンに映し出されたその瞬間から、すべては始まった。
いわゆる「Kiss Cam」、スポーツ試合や音楽ライブの合間、会場にいるカップルやかわいい子、面白そうな人を選んでスクリーンに映し出し、キスやポーズなどのリアクションを促す演出だ。Kiss Camに捉えられた二人は、自分たちの姿がスクリーンに映っていることに気づいた瞬間、あわてて離れた。既婚者のバイロン氏はカメラから逃げるように身をかわし、彼の妻ではないカボット氏は「OMG!」と言わんばかりに顔を手で隠した。