「暴力団への規制」を教訓に悪質ホストにメスを!

 実は玄さんは、このような問題を根本的に解決していくため、ある「条例」の制定を目指して活動をしているという。

「それは買春防止条例です。日本では売春防止法という法律で、売春をする女性側だけが罰せられているけれど、買春をする男性側はなんのおとがめもない。これはおかしいでしょ? 

 悪質ホストに命じられるまま路上で売春をしている未成年者、若い女性を守るために、買春する側も取り締まっていくのは必要不可欠。まだちょっと詳細は明かせませんが、それをある地方自治体がかなり積極的に進めようとしているので、私も協力させていただいています」(玄さん)

 そこで気になるのは、なぜ国の法律ではなく「条例」なのかということだろう。

 大きな理由の一つは、悪質ホスト問題の主戦場が、今後「地方」になっていくからだという。

「実は改正風営法などで締め付けが厳しくなっているホストクラブが、どんどん地方出店に力を入れているんですよ。そういう地域の警察はこれまでほとんどホストクラブの取り締まりなんてしたことがないのでやりたい放題。

 つまり、若い女性の路上売春なども地方に広がっていくということです。しかも、歌舞伎町のホストも大金を貢いでいる女性側にも、地方出身者が多いんです。つまり、加害者も被害者も供給源は地方なんです」(玄さん)

 確かに、これから性的搾取被害が増えて、次世代のホストや大金を貢ぐ女性たちをつくり出していく「地方」にこそフォーカスを当てるというのは、理にかなっている。そこに加えて、玄さんが条例にこだわるのは「暴力団への規制」からの教訓もあるという。

「1992年に暴力団そのものを規制するという目的で暴力団対策法ができてもそれほど効果はなかったやん。でも、2009年に福岡県で暴力団排除条例ができて、それが2年かけて全国に広がったところ、10万人いた暴力団員が2万人まで激減した。

 あれはなんでうまくいったかというと、事業者に暴力団との交際や“みかじめ料”を払うことを禁止させたり、金融機関に暴力団員の口座開設を禁止させたりして間接的に暴力団を追いつめたからでしょ。だから、悪質ホストも同じような形で間接的に追いつめればいいわけですよ」(玄さん)