売春は社会問題なのに、買春に寛容な社会はおかしい
改正風営法によってホストクラブそのものが規制されたが、先ほども紹介したように悪質ホストらは「恋愛」という脱法テクニックで、女性を意のままに操って売春などをさせて金を貢がせている。
その女性たちを売春防止法で検挙したところで、ホスト側は「交際している彼女が勝手に売春していた」と言い訳ができるので痛くもかゆくもない。
だが、彼女たちを買春する側の男性を厳しく取り締まるようになれば、話は変わってくる。ホストに貢ぐ金欲しさに路上や違法風俗で売春をする女性たちが思うように金を稼ぐことができなくなれば、彼女たちの陰に潜む悪質ホストたちを経済的に弱らせることができるかもしれない。
「そこで重要なのは、罰則と実名公開です。痴漢などの性犯罪と同じく、女性を買うような男は仕事も信用も失って、人生終わりだというくらいにする必要があるよね」(玄さん)
世の男性諸氏のなかには、「厳しすぎるのでは?」と感じる人もいるだろうが、そのように買春に寛容な社会の方がおかしいと玄さんは訴える。
「これだけ未成年者の売春が社会問題化していて、堕胎を繰り返して子どもを産めんようになっている被害者もいるわけですよ。深刻な少子化で、社会全体で青少年を守っていかなくてはいけないという中で、買春する男たちを取り締ろうということに反対するってどんな人ですか?あなた、日本の未来を真剣に考えてますかと尋ねたいですよ」(玄さん)
地方から動き出す「買春防止条例」のムーブメントは、かつての暴力団排除条例のように、悪質ホストを弱体化させることができるのか。
そして、日本社会が放置し続けてきた「女性の性的搾取の構図」にメスを入れることができるのか。注目したい。
(ノンフィクションライター 窪田順生)
