肝心の小泉氏は
総裁選に出馬するか?

 では、小泉氏は再び総裁選に出馬するのかどうか。筆者は、総裁選前倒しが決まり、石破首相が再出馬しなかった場合、森山氏や菅氏を後ろ盾に出馬すると断言したい。

 その伏線はすでにある。

 8月25日、小泉氏が訪問先の鹿児島県霧島市で、「今は総裁選より政策実現」と訴えたことは多くのメディアで報道されている。

 注目すべきは、小泉氏の隣に、鹿児島県が地元の森山氏がいたという点だ。小泉氏と森山氏は、小泉氏が急遽、農水相に抜擢された頃から急速に距離を縮めてきたが、2人揃って記者団の質問に答えたシーンは、「小泉氏と森山氏ががっちり手を組んだ」(前出の旧安倍派衆議院議員)象徴的な出来事と言っていい。

 その小泉氏は、9月1日、テレビ朝日の番組で、副大臣や政務官からも総裁選前倒しの声が相次いでいる点について、「議員の立場で、危機感を表明するのはあるべき姿勢の1つ」と理解を示した。

 すなわち、総裁選前倒しの動きを閣僚の1人としてけん制しつつ、前倒し派の議員にも秋波を送ったわけだ。頭の中に総裁選の3文字があるからに相違ない。

 森山氏の狙いは、石破政権が存続するなら、自分の代わりに小泉氏を幹事長に横滑りさせ、自分は幹事長代理あたりのポストに下がって影で支援する、そして石破首相の総裁任期が切れる2年後に「小泉首相誕生」にもっていきたい、といったところだろう。

 とはいえ、総裁選前倒しが決定した場合は、小泉氏を押し立て、小泉氏や菅氏と近い関係にある日本維新の会との連立、あるいは財政規律派という点で考え方が近い立憲民主党の野田佳彦代表との連携も視野に、総裁選に挑むことになると筆者は見る。

 一方の麻生氏は、小泉氏に勝てる候補を見定めて支援し、国民民主党との連立や連携を想定しながら総裁選を戦うことになるだろう。

 つまり、総裁選の有無にかかわらず、麻生氏vs森山氏のキングメーカー争い、言い換えるなら最終決戦ののろしが上がったと考えていい。