「人口の半分はしじみ。もう半分は出雲そば」「根岸シャラップ」帝大生たちの“コント”が秀逸で…蛇と蛙の立場は?〈ばけばけ第18回〉『ばけばけ』第18回より 写真提供:NHK

日本人の朝のはじまりに寄り添ってきた朝ドラこと連続テレビ小説。その歴史は1961年から64年間にも及びます。毎日、15分、泣いたり笑ったり憤ったり、ドラマの登場人物のエネルギーが朝ご飯のようになる。そんな朝ドラを毎週月曜から金曜までチェックし感想や情報をお届けします。朝ドラに関する著書を2冊上梓し、レビューを10年半続けてきた著者による「読んだらもっとドラマが見たくなる」連載です。本日は、第18回(2025年10月22日放送)の「ばけばけ」レビューです。(ライター 木俣 冬)

「人口の半分はしじみ もう半分は出雲そば」

 トキ(高石あかり、「高」の表記は、正確には「はしごだか」)が東京の銀二郎(寛一郎)の下宿にたどりついた。そこには、松江の大盤石こと錦織(吉沢亮)と帝大生の根岸(北野秀気)と若宮(田中亨)がいた。

 水を飲みながら銀二郎を待つ間、彼らの話をトキは聞く。

 松江は衰退していて、「人口の半分はしじみ」「もう半分は出雲そば」と根岸。そんな松江を変えたいと錦織は思っている。

 何かを成そうとしている松江の人たちが東京に来ている。

 松江自体がこの頃、日本のなかで取り残されて貧しい状況なのだろう。江戸時代が260年も続いて、すっかり中心は江戸なのだ。

 でもトキは松江が遅れているとか東京が進んでいるとかはわからない。

「東京の東京」を見ればわかると言われるが……。東京の東京、それは浅草や銀座のこと。この時代は浅草や銀座が中心地だった。

 トキは東京観光しているヒマはないだろう、銀二郎に会いに来たわけがあるのだろうと錦織は察しがいい。なぜ彼は東京で、なぜ君は……トキは何しに東京へ? という疑問に「銀二郎さんに逃げられまして」とトキはわけを語りはじめた。

 ちゃんとわけを聞きたいから追いかけて来たと言うが、わけはわかっているだろう。でも1回ちゃんと話したい気持ちもわかる。そしてもう一度松江でやり直したいトキの乙女心もわかる。ただ、そうなると銀二郎にまた無理をさせることになるわけで。根本的な生活の仕方を見直す必要があるが、それをトキがしようと思っているとは考えられない。そこがなんとももどかしくやるせない。

「申し訳ないそんな秘め事を」と錦織。

「申し訳ない」と錦織も根岸も若宮も紳士的だ。

 そうこうしていると銀二郎が帰ってきた。