旧岸田派の議員も加われば
流れは一気に総裁選前倒しへ
筆者は連日、自民党の衆参両院議員と電話で票読みをしているが、麻生派、旧茂木派、旧安倍派合わせて140人の大半が賛成すれば、都道府県票を加えて過半数の172(自民党衆参両院議員295+都道府県47=342)に近いところまではいくと見ている。
もちろん、週末を挟むため、地元に帰る議員がどう判断するか予断を許さないが、議員で言えば、旧岸田派37人の動向、都道府県連で言えば、森山氏の地元、鹿児島県と、小泉氏や菅氏の地元、神奈川県の判断に注目しておく必要がある。
去年の総裁選の決選投票で高市氏ではなく石破首相を勝たせた旧岸田派は、ここへ来て、反石破に転じ、総裁選前倒しに舵を切ったように見える。
先に述べたように、総裁選前倒しをめぐっては政務三役の中からも公然と前倒しを求める声が上がっているが、先鞭をつけた神田潤一法務政務官や小林史明環境副大臣はいずれも旧岸田派の議員だ。
麻生派、旧茂木派、旧安倍派に加え、旧岸田派からも前倒しを求める議員が加われば、流れは一気に「石破降ろし」、臨時総裁選実施に向かうことになる。
ただ、現在の総裁選前倒しに向けた水面下の動き、そして、その先にあるかもしれない総裁選をめぐる権力闘争を思えば、9月2日、参院選敗北を受けてまとめた「解党的出直しに取り組む」や「真の国民政党に生まれ変わる」といった総括文書が、いかに空虚なものであるかがよくわかる。
居座りを続ける石破首相も、そして麻生氏や森山氏らも、すべて有権者は見ていることを忘れないでいただきたいものである。
(政治・教育ジャーナリスト/びわこ成蹊スポーツ大学教授 清水克彦)