(2) 万人に勧められる“おすすめ校”は存在するのか?

 結論は、全員と相性の良い学校など存在しません。「面倒見の良い学校が良いのか? それとも自由な校風の学校が良いのか?」「大学附属校が良いのか? 進学校が良いのか?」など、その生徒や家庭の方針により、おすすめの学校は千差万別です。

 そもそも「違いがある学校の中で、我が子に合った学校を選択できる」というのが受験の良い点です。その意味で、少なくともその子のことを長期間にわたって指導していない人の「おすすめ学校」などは聞くに値しません。

(3) 学校の評価にはライムラグがある

 学校改革が成功し、優秀な生徒が入学したとしても、その生徒が大学進学実績を出すまでに6年かかります(学校の良さは進学実績だけではないという議論はここでは置いておきます)。

 たくさんの教師と生徒が作り上げるというのが学校という集団なので、ある日突然、素晴らしい学校が誕生することはありません。これは、近年で急成長した渋谷教育学園渋谷や広尾学園ですら当てはまります。

 じわじわとその学校の良さが浸透してくるものなので、数年たった頃には全員が知っている有名校、となります。なお、共学校や大学附属校への変更であれば、短時間で一気に学校の様子が変わりますが、これは誰もが知り得る情報に入るでしょう。

(4) 生徒を預かっている立場として、おすすめ情報をどう扱うか?

 ここまで「おすすめ併願校という情報はない」とお伝えしてきました。むしろ「ない」と覚悟していくほうがプラスになると考えているからです。

 では、もしも「誰も知り得ない有益な情報があったとしたら……」という超レアケースの場合も仮定しておきます。

 私は実際に生徒を預かって指導している立場ですので、その情報が有益であればあるほど「担当する生徒だけ」に開示します。そういう判断は、私ではなくても当然ではないでしょうか? 「ママ友」もしくは「自分」に置き換えても、超有益な情報を不特定多数に知らせることはあるでしょうか? つまり、SNSなどに出ているマル秘情報などは、誰もが知っている情報か信憑性の薄い情報に過ぎません。