(5) “超”期間限定で“その年”にしか通用しないおすすめ校は存在する
おすすめできる学校は1校も存在しないのか? というと、実は特定の生徒にしか通用しない期間限定のおすすめ校というものがあります。
正確には、募集要項の変更によって特定の学校を志望する子の受験パターンが組みやすくなることがあるというわけです。
例えば、神奈川県の女子校であるフェリス女学院は、2025年度(25年2月実施)までは2月1日入試であれば翌日の2日の昼に合格発表でした。ところが、今年度(26年2月実施)は2月1日23時発表に変更になりました。
また、高校募集を停止した、入試日程を減らしたなどの要因により、日程ごとの募集人数が増えた場合は倍率が下がる可能性があります。もちろん、募集人数が増えることにより人気が高まることも考えられますが、実際には偏差値的には下がることが多いようです。
秋からの学校説明会では、出題情報が話されることが多いので、本人の苦手や得意とうまく噛み合うような入試日程の変化であれば、合格率が高まります。学校が発表する情報が情報の中でも最も重要。上手に情報収集し、併願パターンを組み替えるのは有効な戦術です。
2025年度入試では、開智所沢、北里大附属順天、淑徳巣鴨、昭和学院、西武学園文理、成立学園、東京農業大学第一、玉川聖学院、日本工業大学駒場、日本女子大学附属、日本大学藤沢、明治大学附属中野、安田学園、横浜創英などが中学の募集定員を増やしました。
志願者も合わせて増えますが、成績的にはチャレンジ層が増えること、学校側も合格発表の人数を増やすことで、見かけよりも実質的な難度が上がらないケースが多い傾向にあります。詳細は、学校説明会でお聞きになると良いでしょう。
上記は、募集定員全体が増えた学校を紹介していますが、「お子様が受験する日程の募集定員が増えた」場合には、今年のみの「穴場校」となるかも? と前向きにお考えください。
“すべての学校に精通”は無理!それでも塾の先生にしか頼れないことがある
多くの中学校では、塾講師を対象とする学校説明会というものを開催しています。これは、午前中に行われることが多いため、塾業界の働き方改革が進んだ結果、残念なことに参加人数が少なくなっています。実際に複数の私立中学の先生から「塾の先生が学校のことをあまりご存じでないことが課題だ」ということも聞いています。
ただし、首都圏には300以上の学校があるので、基本的に、塾の先生は「全ての学校」に精通しているわけではないことを前提とするのが良いと思います。
そのため、保護者の方の目線に立つと、特に併願校については、「手放しにおすすめ学校を紹介してもらう」のではなく、「入試問題を分析してもらう」と視点を変えて、塾のノウハウを活用することを提案します。
次回は「受験校のチャートの作り方」や併願校決めの“セカンドオピニオン”を依頼する際のポイント、「全落ち」を防ぐためにできること、そして全落ちしない生徒と逆転合格をする生徒の共通点などをお伝えします。