
『医療費の裏ワザと落とし穴』298回では、誰もが知っておきたい「災害時の医療費」について詳しく解説。自然災害の増加に加えて、南海トラフ巨大地震の発生も心配されている今、いざという時に損しないための基礎知識をお届けする。(フリーライター 早川幸子)
8月30日~9月5日は「防災週間」
「その日」に備えて準備しよう
1923(大正12)年9月1日11時58分、相模湾北西部を震源とするマグニチュード7.9と推定される地震が発生した。のちに関東大震災と呼ばれるこの大地震は、東京、神奈川などの南関東から東海にかけて被害をもたらし、全壊全焼した家屋は約29万棟。死者・行方不明者数は約10万5000人にのぼった。
経済被害は当時の国家予算の4倍にあたる約55億円に及び、この日はわが国に自然災害の恐ろしさを刻みつけることになった。
9月1日は、春分の日から二百十日にあたる頃で、台風の多い季節でもある。水害もまた、地震や津波と同様に、命に関わる被害をもたらす自然災害だ。そこで、戦後の1960(昭和35)年の閣議で、9月1日を「防災の日」に定めて防災意識を高めていくことが決定されたのだ。
そして、1982(昭和57)年からは、9月1日を含む1週間を「防災週間」に指定し、関係機関や地方自治体を中心に防災訓練などが行われるようになった。
国土交通省の調査では、「防災・減災の実現に重要と考えること」という質問に対して、54.9%の人が「ハザードマップや避難場所・経路の確認」、52.5%の人が「食料・水等の備蓄や非常持ち出しバッグ等の準備」と答えており、「何もしていない」という人は14.2%にとどまっている(「令和3年度版 国土交通白書」)。
近年は自然災害の増加に加えて、南海トラフ巨大地震の発生も心配されており、防災に関する市民の意識は高まっているようだ。その防災のひとつとして覚えておきたいのが、被災時の医療費に関することだ。