失業したのに健康保険料が高くなった!知らないと大損する 「軽減措置」の手続きとは写真はイメージです Photo:PIXTA

倒産、解雇、雇い止め、派遣切り……「会社都合」で失業した人を対象に「国民健康保険料の割引制度」があるのをご存じだろうか。いざその時になって損することがないように『医療費の裏ワザと落とし穴』の第285回では、制度の概要を解説する。(フリーライター 早川幸子)

無職になって国民健康保険に加入
保険料は安くなるはずだったが…

 この夏、A子さん(38歳)は、契約社員として2年間働いたB社から期間満了を言い渡された。

「契約社員になった当初は、新しいプロジェクトのメンバーとして長く働いてほしいと言われていました。でも、予定していた注文が入らなくなり、業績が悪化してしまって……。契約更新時の面談で、次の更新はしないと言われてしまったんです」

 退職までの間に他の仕事も探したものの、なかなか条件の合う仕事が見つけられなかったA子さんは、契約期間満了後は無職になり、当面は雇用保険の基本手当をもらいながら暮らすことにした。

 公的な医療保険は、契約元の会社の健康保険組合に継続加入することもできた。だが、人事部の人から「期間満了や雇い止めの場合は、会社の健康保険よりも、国民健康保険のほうが保険料は安くなる」と教えてもらい、A子さんは国民健康保険の手続きをとることにしたのだ。

 退職後、離職票を持って市役所に行き、国民健康保険の加入手続きをすると、すぐに健康保険証が発行された。これで一安心と思っていたところ、後日送られてきた保険料の納付通知を見てビックリ! 

「契約社員時代の健康保険料は、毎月1万4500円くらいだったのに、国民健康保険料は月額2万4300円と納付書に書かれていたんです。国保に入った方が保険料が安くなるというのは嘘だったのでしょうか?」

 A子さんのような期間満了や、倒産、解雇、雇い止めなどで退職した「非自発的失業者」には、国民健康保険料の軽減措置が設けられている。ただし、手続きには「雇用保険受給資格者証」が必要で、離職票を提示するだけでは保険料の軽減措置は受けられないのだ。

 非自発的失業者のための国民健康保険料の軽減措置を受けるためには、どのような手続きが必要になるのだろうか。詳しく見ていこう。