そうして作品のファンになった観客たちが、公開日を待ちわびて映画館にやってくる。デジタル化が劇場の観客を増やすという好循環が生まれます。
サブスクによって進んだ
作品のロングライフ化
もちろんソフト面の変化だけでなく、ハード面の変化も見逃せません。
シネマコンプレックスが公開日に一斉にウインドウを開け、期待作にスクリーンが独占されるという現象も、アニメの人気シリーズや、人気マンガ原作映画の興行収入が伸びる一因です。
サブスクリプション・モデルが生んだもうひとつの現象が、作品のロングライフ化です。映像配信では作品の再生数や、作品の総視聴時間が評価の対象になります。当然ながら、本数の多い作品が評価上有利になります。
かつて1クールだけで終わってしまうアニメ作品が多かったのは、映像パッケージをビジネスの主体にしていたからでした。熱心なユーザーでも、そうそう高額なパッケージをたくさんは買えません。
しかしサブスクリプション・モデルが主体になった現在では、この壁も突破されました。人気作品は2期3期と作られるのが前提になり、その寿命が延びることになります。作品のロングライフ化は、デジタルによって後押しされているのです。
デジタル化がユーザーの動向に変化を与え、メディアミックスの流れも変えました。マンガやアニメ人気の高まりの裏に、デジタル化の推進があるのは間違いありません。
日本で最初の
メディアミックス作品
ここまで書いてみて、日本のアニメや特撮番組のメディアミックスのルーツを知りたくなりました。
私にとってメディアミックスというものは、作品を単純に別のメディアに置き換えるものではありません。別のメディアに置き換えた上で、そのメディアを愛好するファンを巻き込んで、ファンの輪を拡大してゆくことです。
人気マンガをアニメ化する、実写化するというのも、メディアミックスには違いありません。しかし、ここでは別ジャンルを融合して多面展開することを、メディアミックスと呼びたいと思います。