「中国のAI関連論文数は、ダントツの世界1位」その信じられない数字とは?
「経済とは、土地と資源の奪い合いである」
ロシアによるウクライナ侵攻、台湾有事、そしてトランプ大統領再選。激動する世界情勢を生き抜くヒントは「地理」にあります。地理とは、地形や気候といった自然環境を学ぶだけの学問ではありません。農業や工業、貿易、流通、人口、宗教、言語にいたるまで、現代世界の「ありとあらゆる分野」を学ぶ学問なのです。
本連載は、「地理」というレンズを通して、世界の「今」と「未来」を解説するものです。経済ニュースや国際情勢の理解が深まり、現代社会を読み解く基礎教養も身につきます。著者は代々木ゼミナールの地理講師の宮路秀作氏。「東大地理」「共通テスト地理探究」など、代ゼミで開講されるすべての地理講座を担当する「代ゼミの地理の顔」。近刊『経済は地理から学べ!【全面改訂版】』の著者でもある。

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「中国のAI関連論文数はダントツの世界1位」論文数は?

 AI関連論文数は、2014年の3万5011件から2022年には12万3402件と3.5倍に増加しました。

 アメリカ合衆国はGAFAMやスタートアップ企業が中心となって論文数が増加し、産学連携が進んでいます。特に増加数が著しいのが中国、インド、インドネシア。3カ国は2014年―2023年比較で中国5.5倍、インド17.8倍、インドネシア39.8倍です。2014年と2022年の「AI関連論文数」の統計を見てみましょう。

【2014年の統計】
1 位 中国 7,694
2 位 アメリカ合衆国 5,553
3 位 日本 2,397
4 位 イギリス 2,316
5 位 ドイツ 1,909
6 位 フランス 1,436
7 位 スペイン 1,407
8 位 イタリア 1,317
9 位 インド 1,270
10 位 オーストラリア 1,179

【2022年の統計】
1 位 中国 42,524
2 位 インド 22,557
3 位 アメリカ合衆国 12,642
4 位 イギリス 4,675
5 位 日本 3,858
6 位 ドイツ 3,744
7 位 インドネシア 3,103
8 位 イタリア 2,843
9 位 カナダ 2,772
10 位 韓国 2,569

出典:全米科学財団 単位:件

 中国は国家戦略として研究開発を奨励してきました。インドは2014年8月に発表した「Digital India 」、インドネシアは2018年の「Making Indonesia4.0」を背景に急増しています。特にインドネシアは、東南アジアでは頭一つ抜けた研究拠点になりつつあります。

(本原稿は『経済は地理から学べ!【全面改訂版】』を一部抜粋・編集したものです)