「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
「経済とは、土地と資源の奪い合いである」
ロシアによるウクライナ侵攻、台湾有事、そしてトランプ大統領再選。激動する世界情勢を生き抜くヒントは「地理」にあります。地理とは、地形や気候といった自然環境を学ぶだけの学問ではありません。農業や工業、貿易、流通、人口、宗教、言語にいたるまで、現代世界の「ありとあらゆる分野」を学ぶ学問なのです。
本連載は、「地理」というレンズを通して、世界の「今」と「未来」を解説するものです。経済ニュースや国際情勢の理解が深まり、現代社会を読み解く基礎教養も身につきます。著者は代々木ゼミナールの地理講師の宮路秀作氏。「東大地理」「共通テスト地理探究」など、代ゼミで開講されるすべての地理講座を担当する「代ゼミの地理の顔」。近刊『経済は地理から学べ!【全面改訂版】』の著者でもある。

「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!Photo: Adobe Stock

世界で最も高齢化率の高い国は?

 世界で最も高齢化率(65歳以上人口割合)の高い国はモナコです。モナコは税制面での優遇を背景に、特に2010年以降の移民人口割合が上昇(2010年63.7% → 2024年70.2%)しており、富裕層のリタイア先として高齢者層の移住者が増えています。2015年と2023年の統計を比べてみましょう。

【2015年の統計】
1 位 モナコ 34.1
2 位 日本 26.9
3 位 イタリア 22.0
4 位 ギリシャ 21.1
5 位 ドイツ 21.1
6 位 ポルトガル 20.6
7 位 ブルガリア 20.2
8 位 フィンランド 20.2
9 位 クロアチア 19.2
10 位 セルビア 18.9

【2023年の統計】
1 位 モナコ 36.4
2 位 日本 29.6
3 位 イタリア 24.2
4 位 ポルトガル 24.1
5 位 フィンランド 23.6
6 位 ギリシャ 23.5
7 位 クロアチア 22.8
8 位 ドイツ 22.8
9 位 セルビア 22.3
10 位 ブルガリア 21.8

出典:世界銀行 単位:%

 日本は、歯止めの利かない出生数の減少を背景に、高齢者割合の上昇が続いています。

 またポルトガルは近年の経済不況や若年層の流出、フィンランドは福祉政策や生活様式に対する価値観の変化などで出生率の低下が著しく、それを背景に高齢化率が急上昇しています。一方、ドイツは移民流入数の増加や出生率の回復を背景に高齢化率の上昇幅が縮小しました。

(本原稿は『経済は地理から学べ!【全面改訂版】』を一部抜粋・編集したものです)