「中国の人口は、もう世界1位じゃない」→どこに、いつ抜かれた?
「経済とは、土地と資源の奪い合いである」
ロシアによるウクライナ侵攻、台湾有事、そしてトランプ大統領再選。激動する世界情勢を生き抜くヒントは「地理」にあります。地理とは、地形や気候といった自然環境を学ぶだけの学問ではありません。農業や工業、貿易、流通、人口、宗教、言語にいたるまで、現代世界の「ありとあらゆる分野」を学ぶ学問なのです。
本連載は、「地理」というレンズを通して、世界の「今」と「未来」を解説するものです。経済ニュースや国際情勢の理解が深まり、現代社会を読み解く基礎教養も身につきます。著者は代々木ゼミナールの地理講師の宮路秀作氏。「東大地理」「共通テスト地理探究」など、代ゼミで開講されるすべての地理講座を担当する「代ゼミの地理の顔」。近刊『経済は地理から学べ!【全面改訂版】』の著者でもある。

「中国の人口は、もう世界1位じゃない」では、1位は?
まず、2015年と2023年の「人口」の統計を見てください。
【2015年の統計】
1 位 中国 1,379,860
2 位 インド 1,328,024
3 位 アメリカ合衆国 320,739
4 位 インドネシア 261,799
5 位 パキスタン 217,291
6 位 ブラジル 201,676
7 位 ナイジェリア 190,672
8 位 バングラデシュ 159,383
9 位 ロシア 144,641
10 位 日本 127,141
【2023年の統計】
1 位 インド 1,438,070
2 位 中国 1,410,710
3 位 アメリカ合衆国 334,915
4 位 インドネシア 281,190
5 位 パキスタン 247,504
6 位 ナイジェリア 227,883
7 位 ブラジル 211,141
8 位 バングラデシュ 171,467
9 位 ロシア 143,826
10 位 メキシコ 129,740
出典:世界銀行 単位:千人
2023年、インドに抜かれた!
2015年と比較して、人口トップ10の国は、「食料供給量が多い国」、あるいは「主産業が農業の国」であることに変化はありません。食料供給量が多い国は、それだけで人口を支えることができます。
近年、中国は急激に高齢化が進み、人口増加が鈍化した結果、2023年、インドが世界最大の人口大国となりました。
インドも出生率の低下は顕著ですが、高齢化の進行が遅いこともあって、今後も人口増加が続くと予測されています。パキスタン、ナイジェリアは依然とした高い出生率が続いており、多産少死型の人口動態を背景に著しく人口が増加しています。
(本原稿は『経済は地理から学べ!【全面改訂版】』を一部抜粋・編集したものです)