優れたコンサルタントが
話すときに意識すること

 では、会話の中で相手の思考の解像度を上げるには、どうすればいいのでしょう。

 私は様々なコンサルタントと共に、200社以上で社員が成果を上げる支援をしてきました。

 その経験から、「相手の思考の解像度を上げる」ために、優れたコンサルタントが気をつけていることは、たったひとつであることに気がつきました。

 それは、「相手の頭の中に成果を上げているイメージを描写する」ことです。

 京セラ創業者の稲盛和夫さんは、

「見える」状態になるまで深く考え抜いていかなければ、前例のない仕事や、創造的な仕事、いくつもの壁が立ちはだかっているような困難な仕事をやり遂げることはできません。

 という言葉を残しています。

 多くの経営者やリーダーは、自分の思い通りに相手を動かしたいと思い、「こうすべきだ」「こうしないとダメだ」と、無意識に上から目線で話してしまいます。

 しかし、これだと社員は納得しないどころか、それ以上考えることをやめてしまいます。

 一方、相手に成果を上げさせる優れたコンサルタントは、相手の思考状態を推測し、その半歩先から思考をガイドし続けることで、相手の頭の中に成果を上げているイメージをつくり上げます。

 険しい山に挑戦する登山者をガイドする優れたシェルパが、相手の体調を推測しながら、半歩先から的確に進む道をガイドすることで、相手が自力で頂上に辿り着けるようにすることに似ています。

 ポイントは、「自分が相手なら、どう行動するか?」を考え続けることです。

 自分が主役ではなく、相手を主役に「どう動けば成功できるか?」と考えることで、相手の半歩先から思考をガイドしていきます。

 仮に自分であれば切り抜けられる状況であっても、相手のスキルや経験によっては回り道をする必要があるかもしれません。