優れたコンサルタントは、相手から考えを引き出すことで、回り道へガイドするか、多少ムリをしてでもこのまま進むほうへガイドするか、もしくは来た道を戻るかを常に考えながら話しています。

「成果」を上げる
3つの方法とは?

 ビジネスの世界での「成果」とは、
「顧客へ価値を提供し、それに相応しい対価を頂くこと」
 です。その成果の上げ方には大きく3つの方法があります。

 1つ目は自分が動いて成果を上げる方法です。

 個人飲食店のように、自分で食材を仕入れて、料理をつくってお客さんの元へ運び、レジ打ちしてお金をもらうイメージです。

 全て自分でコントロールできる良さはありますが、自分が頑張った以上の成果は得られません。そういう働き方もありだと思いますが、事業が大きくなってくると、自分1人では全ての作業をこなすことができなくなります。

 そこで、2つ目の成果の上げ方は、自分の作業を他の人と分担する方法です。

 飲食店が大きくなると、料理をつくる人、接客する人、食器を洗う人と作業を分担することで、1人でできる以上の作業をこなせるようになります。

 しかし、決められた作業を分担しているだけで、新しい価値を生むことはできません。

 さらに成果を上げようとするなら、3つ目の方法が有効です。相手の思考の解像度を引き上げ、新しい価値を生み出してもらう。優れたコンサルタントは、この方法を用いてクライアントに成果を上げさせています。

 これができるようになると、飲食店の事例で料理をつくる人が新メニューを考え、接客する人が新サービスを生み出し、食器を洗う人が短時間で食器を洗う方法を考え出すようになり、1人で何十人、何百人分の成果を上げられるようになります。

 経営学の大家であるピーター・F・ドラッカーは、マネジメントを「組織に成果を上げさせるための道具、機能、機関」と定義していますが、相手の思考の解像度を上げる話し方は「マネジメント」そのものであると言えます。