なお、事業許可制が採用されているトラック運送事業(一般貨物自動車運送事業)は許可取り消し処分が可能だが、届出制である貨物軽事業では許可取り消しという罰則がないため、日本郵便の軽貨物事業が取り消されることはない。

綱渡りの戦力配置でオペレーション混乱も

 とはいえ、オペレーションの混乱は必至だ。日本郵便が全国で保有する軽バンなどの軽車両は約3万2000台に及び、郵便や荷物の集配などラストワンマイルの中核を担う。日本郵便は車両停止の処分期間中、外部委託や近隣の郵便局からの応援などで集配戦力を補う考え。ただ、都市部であれば対応は可能だが、委託先が限られる地方部では想定通りに進むかは不透明だ。

 また、すでに許可が取り消されている大口顧客への集荷業務などでは、約2500台分の輸送力のうち42%を自社の軽車両でカバーしている。関係者からは「今後、戦力配置を再構築する中で、玉突き的な混乱や綱渡りのような弥縫策によって現場のオペレーションは相当混乱するだろう」との悲観的な声も出ている。

委託費の増加やさらなる顧客離反リスクも

 さらなる委託費の増加や大口荷主の離反への懸念も高まっている。日本郵便はトラック事業の許可取り消しで2026年3月期の外部委託費が65億円増加するとの見通しをすでに発表しているが、今回の軽車両の使用停止でコストがさらに膨らむことは避けられない。また、持株会社である日本郵政の根岸一行社長は「7月ごろからゆうパックの利用を控えたいとの声が少しずつ出ている」と述べており、今回の行政処分で顧客離れがさらに進むことも考えられる。

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