
“はちきん”からしとやかへ「正直とても悩んだ」演じ方
若いとき「はちきん・おのぶ」として走り回っていたのぶが、大人になるにつれ、とりわけ、嵩の妻になってからはしとやかになった。
「ターニングポイントと思ったのは、のぶがいろいろ抱えてきた葛藤を吐き出すシーンでした。子供ができなかったとか、何者でもなかったとか、そういう思いを吐き出したとき、嵩さんが『そのままで最高だよ』と受け止めてくれて、のぶは本当に救われたのかなと思いました。
そこからすごく自分らしく生きやすくなって。妻として嵩を支えることがのぶの居場所だと誇りを持てるようになったと思っています」
妻として支える側にまわったのぶの心情を理解し、今田さんはしっかりとやりきり、主人公としてセンターに居続けて見えた。当人としてはあえて何もしない選択をしたのだろうか。
「本当にこれが正直とても悩んだところでした。やっぱり幼少期に『はちきん』と呼ばれ、あれだけ走り回って溌剌としていた彼女が、大人になると徐々に落ち着いてくるとき、どう演じようか、とても迷いました。
ただ、のぶも大人になるといろいろと経験をして悩みも増えていきます。昔は正義感でいろいろ動き回って、そういうことがのぶらしさのひとつだったけれど、いろんなことを経て、一歩考えることができるようになった。
過程は迷いながら演じていましたが、終盤になるとまた昔らしさも出てくる瞬間もあって。悩んだり心が晴れたり、気持ちの変化によって言動が変わっていくものなのだと思いました。はちきんなのぶと立ち止まって考えられるのぶが融合されていったらいいなと思いながら演じていました」
嵩が成功してマンションに引っ越したとき、のぶはそれまで結っていた髪をおろしてサラサラ・ストレートになっていて若見えするほどだった。この髪型を選択した理由は?
「当時の髪型の流行りを加味しながら、そのつどヘアメイクさんと話し合って決めていきました。60年代になると、カールした髪型の流行りが少し落ち着いてストレートが流行になるんです。
あの髪型を選ぶ上で、前髪をどうしようか迷いました。どストレートでストンと落とすスタイルもあったのですが、なんだかんだで前髪をあげて過ごしてきて、それがのぶらしいよねという話になって。結果、ああいう髪型に至りました。
でもそれもまたガラッと変わっていきます。のぶのヘアスタイルの変化も最後までお楽しみいただければと思います」(第24週からショートカットになった)