ただ、そうなるとオーナーとしては「特定空家等」と判断されないようなギリギリのラインを狙うだけだ。つまり、「特定空家等逃れ」という新たなイタチごっこが始まるだけに過ぎない。
実際、総務省が24年4月に発表した2023年10月時点の住宅・土地統計調査によると、国内の住宅総数に占める空き家の割合は過去最高の13.8%だった。18年の前回調査から0.2ポイント上昇。この5年間で50万戸も増えているという(日本経済新聞 2024年4月30日)。
つまり、「空き家にしておいた方が得」というインセンティブが継続している限り、日本の空き家はこれからも右肩上がりで膨張していくのである。
メガソーラーもまったく同じだ。事業者や中国資本を厳しく規制するというのは結構な話だが、これも空き家でいうところの「特定空家等」の判断と同じで、新たなイタチごっこが始まるだけだ。
「太陽光発電施設をつくった方が得」というインセンティブが継続している限り、日本全国の自然豊かな場所、希少生物がいるようなエリアの太陽光発電開発は膨張していくのである。
しかも、このインセンティブが工事の許可を与える行政側の「機能不全」を招いており、それがメガソーラーの「環境破壊」の後押しをしている面もある。
先ほど釧路市のメガソーラーについて、事業主の「日本エコロジー」が森林法に基づいた手続きをしていなかったことが明らかになって、北海道が工事中止を勧告したという話をしたが、実はこれは釧路市にも問題がある。
「日本エコロジー」が森林法上必要な書類を期限内に提出していなかったのは紛れもない事実だが、なんと釧路市側もそれに約4カ月間も気付いていなかったことが明らかになっている。
この問題は、釧路市議が指摘したことで明らかになった。当初、釧路市はその市議に対して、書類は期限内に提出されたかのような説明をした。しかも事業者に対しては「整合性を付けて」と伝え、期限内の日付が記された書類を受け取っていたこともわかっている。