そもそもなぜ日本や中国の事業者がメガソーラーをやるのかというと、「手軽に儲かるから」だ。悪名高い「固定価格買取制度(FIT)」によって、中国だけではなくタイ、ドイツ、スペインなどの海外資本がバンバン日本の土地を買い漁った。

 だからこそ、外資への規制を厳しくするべきだという人もいるが、実はこれもあまり意味がない。外資を排除しても国内企業が同じことをするし、外資が国内企業を隠れ蓑にするスキームが巧妙化するだけなのだ。

 なぜこんな“イタチごっこ”になってしまうのかというと、「事業者に土地を明け渡す日本人」が雨後の筍のようにわいて出てくるからだ。

 この構造的問題を理解するには、メガソーラー建設に揺れる釧路がわかりやすい。

 釧路湿原ばかりが注目されているが、実は釧路市は他にもメガソーラーが多く建設されており、いわば「太陽光発電開発ラッシュ」ともいう状況だ。地元テレビ局HTBのニュースによれば、釧路市内の太陽光発電施設は2012年には25カ所だったが、現在は、およそ600カ所にまで急増している。

 そう聞くと、「中国資本の静かな侵略だ」「日本エコロジーのように意識の低い企業が乱開発しているのだ」という話になりがちだが、実はこの問題を引き起こしているのは中国や事業者のせいだけではない。「太陽光発電用施設をつくりませんか」という話を持ちかけられると、アパートやマンションを建てるようなノリで契約書にサインをしてしまう土地オーナーも「同罪」である。

 では、なぜ土地所有者たちはこぞって太陽光発電という儲け話に流れるのかというと「得」だからだ。実は「森林法」では天然林を伐採した場合、伐採開始から5年で新たに木を植えることが義務付けられており、それを怠ると罰金もある。

 しかし、そこで太陽光発電施設の開発許可を得ている場合、この造林義務を免れることができる。この土地所有者の負担を減らすという制度が、太陽光発電開発ラッシュの「元凶」である可能性が高いのだ。