
人に何かを伝えたいとき、大切なのは「話の解像度を上げる」ことだ。効果的に「例え話」を使うことで、聞き手に具体的なイメージを持たせ、理解を促すことができる。しかし一方で、使い方を間違えると致命的な失言につながる危険もあるという。テレビ東京「WBS(ワールドビジネスサテライト)」のメインキャスターである豊島晋作が語る、失敗しない「伝え方」のコツとは。※本稿は、豊島晋作『「伝え方」の本質』(日経BP)の一部を抜粋・編集したものです。
何かに例えることで
伝える内容の解像度を上げる
何かを伝えるとき「例える」という視点で伝えると、問題の本質が見えたり、明確になったりします。
非常に保守的な上司の主張に対し、反論を考えなければならない場面。例えば、上司が「失敗は許されない」と言って、新しい事業をすべてストップさせようとした場合、どう説得すればいいでしょうか。
そんなときは「では、交通事故をすべて無くすために、日本中でクルマの運転を禁止しますか?」と例えてみるのもアリかもしれません。「新規事業の停止でリスクがゼロになった会社」を「交通事故は激減したが、同時に人の移動手段が奪われて経済活動が停滞した世界」に例えています。つまり度がすぎた“事なかれ主義”を痛烈に批判する例えです。
これはかなり感じの悪い伝え方になってしまいますが、何かに「例える」ことは、伝える内容の解像度を上げ、相手により具体的なイメージを持ってもらうための有効な手段です。