聞き手の年齢が下がるほど
大きな動きが効果的

 それでも、今ではジェスチャーはビジネスシーンでは広く受け入れられつつあり、やはり効果的です。先ほどの場合とは逆に、聞き手の年齢が低ければ低いほど、大きなボディーランゲージや動きが効果的です。

 例えば、私が小学校で子どもたちに「お金」や「経済」について説明する際には、両腕を大きく広げて「こんなにたくさんお金があって」とか、生徒の机にある筆箱を取って「みんなが持っているこの筆箱っていくらかな」などと言いながら、大げさなジェスチャーを使って伝えます。子どもたちは大きな動きをするものが好きですし、そのほうが集中して話を聞いてくれるからです。

 つまり、聞き手の年齢が上がるほどジェスチャーは小さくする。逆に年齢が下がるほどジェスチャーは大きくする。こう考えておくのがよいでしょう。

 ジェスチャーを苦手に感じる人は、電話で話しているときの身ぶり手ぶりを応用することを考えてみてください。あまりジェスチャーをしない日本人でも、電話で話し相手が目の前にいなかったり、酔っていたりするときだけは身ぶり手ぶりが豊かになります。

 みなさんも電話で話しながら、無意識に大きく頭を下げたり、「ええ!そうなの?」などと言ってのけぞったりしたことはないでしょうか。飲み会では、身ぶり手ぶりが普段よりも大きくなっているかもしれません。それはまさに「体と言葉が一致している瞬間」で、メッセージを解放するのに最も適した形になっています。

ジェスチャーを使って
見えないものを“見せる”

 特に「手」を使うとメッセージの意味合いが増幅されます。

 例えば、何か重大な決定をする際に手のひらを自分に向けると、「私が責任を持つ」という強い意思表示になります。教師が「この社会課題を解決できるかは、あなたたち、次の世代にかかっています」と言いながら生徒たちに手を向ければ、ただ言葉で伝えるよりも、生徒たちは教師からの強い期待を感じるはずです。

 また、質問を投げかけながら、手のひらを相手に向けると、「あなたにボールを渡しましたよ」「あなたが答える番ですよ」という、相手に判断を委ねる意思表示になります。

 そして、ジェスチャーは聞き手の視覚情報を補足することができます。