人間関係がラクな人と辛い人の決定的な違い
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【精神科医が教える】なぜ「人間関係は存在しない」と考えると、驚くほど心が軽くなるのか?Photo: Adobe Stock

「人間関係は存在しない」という考え方

今日は、「人間関係は、突き詰めると存在しない」という少し極端に聞こえるかもしれないテーマについてお話しします。

これまで私は、人間関係について「ありのままでいい」「ご縁として捉えましょう」など、さまざまなお話をしてきました。

しかし、それらの考えをさらに突き詰めていくと、「そもそも人間関係というものは存在しない」と考えてみるのも、心をラクにする一つの方法ではないかと思うようになりました。

人間関係という「思い込み」が苦しみの原因

これはどういうことかというと、まず、個々の「人間」は確かに存在します。そして、人間と人間の間に生まれるものを、私たちは「人間関係」と呼んでいます。

しかし多くの人は、いつの間にかその「人間関係」というものが、何か独立した実体として存在するかのように思い込んでしまいます。そして、その関係を維持しようと過度に期待したり、「こうあるべきだ」というルールで縛ったりすることで、思い通りにいかないときに不安や不快感を覚えてしまうのです。

本来、そこに存在するのは、「他人」と「自分」という、それぞれの個人だけです。その間で起こるやり取りを便宜上「人間関係」と呼んでいるだけで、それ自体が主体として存在するわけではない、ということです。

なぜ「人間関係は存在しない」と考えることが大切なのか

この考え方がなぜ大切かというと、他人も自分も、それぞれが一人の人間だからです。人はその時々の感情や立場、状況、体調、あるいは単なる気まぐれといった、本当にさまざまな要因によって言動が変化します

しかし、相手のそうした内的な変化は、他人からはわかりません。そのため、「あの人とは良い関係だから、こうしてくれるはずだ」「以前こうしてあげたのだから、お返しがあるだろう」「いつもこうだから、今回も同じだろう」といった他人に対する“期待”を無意識に抱いてしまいます。そして、その期待が裏切られた時に、不安になったり、嫌な気持ちになったりして、関係がこじれてしまうのです。

これは逆のパターンでも起こり得ます。「あの人とは仲が悪いから、関わらないほうがいい」と思い込んでいる相手から急に誘われたとき、「なにか裏があるのでは?」「気持ちが悪い」などと、考えすぎてしまうことがあります。しかし、相手は自分との関係を全く悪いと思っていない、というケースは少なくありません。

このように、私たちが「良い・悪い」と決めつけている「人間関係」という前提が、かえって私たちを苦しめているのです。