「脚本協力」とはどんな仕事なのか

アンパンマンはグロテスクと評判が悪いと語った編集者・大宮を演じていたのは、『あんぱん』の脚本協力で参加していた三谷昌登。今週の脚本協力は山岡真介で、山岡は9月29日から4回連続で放送される「『あんぱん』特別編」の脚本を担当する。
脚本協力って何をしているのだろう。以前、中園ミホに『BRUTUS』でインタビューしたときに聞いてみた。ここに記しておこう。
「脚本協力の主な仕事は、私が脚本を書いている間に、先回りして先の回の資料を調べてもらうことです。山岡真介さんも三谷昌登さんも私が希望しました。ふたりとも以前にも協力してもらっている信頼できる方々です。
山岡くんは笑いのシーンが巧い人で。私もコメディを書くことがとても好きですが、疲れてくるとアイデアが出てこなくなるので、笑いの部分のアイデアも助けてもらっていました。三谷さんは大河ドラマ『西郷どん』の脚本協力もしてくださっていて、歴史に詳しいしリサーチ力も高くてとても優秀です。
リサーチは局の制作スタッフもやってくれるのですが、物書きにしかわからない勘所があって。例えば膨大な資料を用意してもらっても読破する時間がないから、『ここは中園さん、興味あるだろう、書きたいだろう』と先回りしてピックアップしてくれるととても助かるんです。
もうひとり大事な人がいます。これ、ぜひ書いておいてほしいのですが、NHKに大森洋平さんという考証のスタッフがいます。
私と同い年ですが、大河ドラマも朝ドラも皆さん大森さんを頼っていて。私は『花子とアン』や『西郷どん』でもお世話になりました。大森さんがいなかったら『あんぱん』は書けなかった。専門の時代考証のかたもいらっしゃるのですが、大森さんは制作的な観点からチェックしてくれるんです。
撮影スケジュールを鑑みながらスタジオにセットを作ることが可能かどうかまで相談に乗ってくれて、絵的な効果、予算的なことを加味してより良いアイデアをくれる。例えば、やなせさんは戦時中、暗号班に所属していて、暗号班の仕事を書きたいと私は思ったのですが、ドラマだと何をやっているのかわかりづらいとアドバイスをくれました。
長い時間をかけて知識を蓄積してきた大森さんはNHKの歴史ドラマにはなくてはならない存在です」