
日本人の朝のはじまりに寄り添ってきた朝ドラこと連続テレビ小説。その歴史は1961年から64年間にも及びます。毎日、15分、泣いたり笑ったり憤ったり、ドラマの登場人物のエネルギーが朝ご飯のようになる。そんな朝ドラを毎週月曜から金曜までチェックし、当日の感想や情報をお届けします。朝ドラに関する著書を2冊上梓し、レビューを10年続けてきた著者による「読んだらもっとドラマが見たくなる」そんな連載です。本日は第126回(2025年9月22日放送)の「あんぱん」レビューです。(ライター 木俣 冬)
嵩はマザコン?「登美子さんとのぶはよう似ちゅうねえ」
週初めはトピックスがギュウギュウに中身が詰まっていた。「愛と勇気だけが友達さ」(演出:柳川強)はついに最終週。あと5回しかない。
- ・トピックス1 登美子、ミュージカル「怪傑アンパンマン」を見ていた。
- ・トピックス2 脚本協力の三谷昌登、編集者役で出演。
- ・トピックス3 羽多子の名台詞
- ・トピックス4 名優・石橋蓮司、あんぱんまんのセリフを語る。
のぶ(今田美桜)が撮った客席の写真を見たら、登美子(松嶋菜々子)が笑って映っていた。実は『怪傑アンパンマン』を羽多子(江口のりこ)に誘われてこっそり見に来ていたのだ。
こんなに素直に笑っている母をはじめて見た嵩(北村匠海)が驚いていると、誰よりも嵩のファンかもしれないと、羽多子は言う。
観劇の次に羽多子は登美子に一緒に高知旅行に行こうと誘う。登美子は相変わらず皮肉屋で渋るが、旅行に誘われてまんざらでもないらしい。
ちょうどそこへ嵩の担当編集者・大宮幸也(三谷昌登)が原稿を取りに来て、アンパンマンが親御さんや児童文学の評論家から評判がよくないとのぶに伝える。それを登美子が聞いていて怒り出し、アンパンマンの理念を熱く語り出した。
「作家が魂をこめた作品を批判するなら、正々堂々と自分の意見としておっしゃい。ひきょう者」と編集者をとっちめた登美子を見て、「登美子さんとのぶはよう似ちゅうねえ」と羽多子。
嵩を誰よりも気にしているのはのぶと登美子であろうと羽多子は、同じ母として感じているのだろう。この理屈でいうと、嵩は登美子に似たのぶを好きになったということではないか。いわゆるマザコンみたいだが、そこを考え始めるとややこしくなるのでさておきたい。