
私たちはいつのまにか、「夢を叶えることこそ幸せ」だと思い込んでいる。しかし、仏教的な見方をすれば、夢が破れたとしても十分に幸せだという。不幸すら幸せに変えてしまう、ブッダの教えとは?※本稿は、河田真誠『自由に生きる練習 ブッダに学んだ“とらわれない”考え方』(総合法令出版)の一部を抜粋・編集したものです。
世界中を見渡せば
自分は幸せだと思えてくる
インドを旅すると、今もなおカースト制度が根強く残っていることを実感する。カースト制度とは、生まれによって職業や身分が決まってしまう仕組みのことだ。
二十数年前、初めてインドを訪れたとき、僕はお金をせがんでくる子どもたちに対して、「自分で働けばいいのに!人からもらおうなんて甘えているんじゃないか」と思った。
しかし、話を聞くうちに、彼らがどれほど努力しようと、どんな才能があろうと、ホームレスのカーストから抜け出すことができない現実を知った(最近では少し状況が改善されてきたらしい)。
僕は、その経験をして初めて、「自分の未来を自分でつくっていける」こと自体がとても恵まれたことなんだと気づいた。それまでは当たり前だと思っていたんだ。
今のあなたは、これまでのあなたの成果だ。過去の出来事を変えることはできないが、自分の捉え方を変えることはできる。残念な出来事にするか、未来への糧にするかはあなた次第だ。
そして、未来のあなたは、今、この瞬間からつくることができる。今日から、何を信じ、何を大切に、何を選び、どんな行動をするかで、未来のあなたはつくられていく。それを自由に決めることができる環境にあなたは生きているのだ。