中堅校を選ぶ親の心理とは?
本郷、攻玉社、サレジオ学院、洗足、鴎友、吉祥女子といった元中堅校の躍進

 子どもは子どもらしくあってほしい、のびのび成長してほしいという親の心理も、上位校を避け、中堅校を選ぶ心理の背景にはあるようです。

 中堅校は普通の12歳が努力した限界を見てくれる学校です。言い換えれば、子どもの精神年齢に合った適切な難易度の問題を出してくれる学校とも言えるでしょう。

 もちろん学校によって独自の問題を出すところもありますが、いずれにしても12歳の子どもにとって無理のない問題を出す。そうした中堅校が選ばれるのは、必ずしも最難関校でなくても、子どもが自分の力を発揮できる環境で学ぶことの方が大切だという価値観が広がってきている、ある意味健全な流れだと思います。

 上位校の思考力問題をまったく楽しめない子どもが思考力重視の学校に入って、本来の力を発揮することができずに周りについて行けないことが予想される場合、中堅校でしっかり実力をつけて自分の最大のパフォーマンスを出せる方が良い。これは「鶏口牛後」のことわざにも通じる考えかもしれません。

 中堅校は、正しい努力をすればその努力が反映されやすい問題を出すのと同様に、子どもの成長段階に合わせた適切な指導で力を伸ばしてくれることも保護者にとって魅力的です。

 もちろん、上位校にがんばって入り、同級生と切磋琢磨することで、発奮する子、潜在能力が開花する子どももいるので、一概にどちらがいいとは言えませんが、いずれにせよ、自分の子どもにとって最適な環境はどこなのか、保護者は真剣に考えるようになっています。

 さらに、中堅校が近年人気を集めている背景には、昔の中堅校が現在は上位校になっているという事実があります。多くの保護者は、こうした成功事例を見て「中堅校に入れれば子どもが大きく伸びるのではないか」という期待を抱いているという面もあります。

 例えば、本郷、攻玉社、サレジオ学院、洗足、鴎友、吉祥女子などは現在では名だたる難関校として知られています。しかし15〜20年前には、今ほどの偏差値ではなく、比較的入りやすい学校でした。これらの学校が難関校へと成長した背景には、学校側の努力があります。丁寧な教育を行い、子どもたちを伸ばし、その結果こうした学校は難関校となったのです。