「小学校7年生」として扱う
中堅教育の秀逸さ

 中堅校が人気を集めるもう一つの重要な理由は「中堅教育の秀逸さ」にあります。多くの中堅校は長年の経験から、子どもたちをどのように育てるべきかを熟知しています。

 最も特徴的なのは、入学してきた子どもたちを過大評価も過小評価もせず、「小学校7年生」として適切に扱う姿勢です。

 中学1年生は確かに入学したばかりの中学生ですが、2カ月前までは小学6年生だったことを考えると、急に環境が変わることで戸惑う子どもも少なくありません。中堅校の多くは、こうした子どもの発達段階や心理を理解し、無理のない指導を心がけています。

「要求が高すぎない」ことも重要です。上位校の中には「自助努力でなんとかしなさい」という放任的な姿勢が見られることもありますが、中堅校では各生徒に合った面倒見の良さが目立ちます。そして、多くの中堅校に共通しているのは「取りこぼしのない教育」です。

 中学受験を経験した子どもの中には、模試や塾のクラス分けによる序列化に疲弊し、自尊心を傷つけられた子もいます。中堅校ではそうした子どもの自尊心を丁寧に立て直す一方、逆に「天狗」にもさせない「ちょうどよい塩梅」の指導を得意としているのです。

 本郷や攻玉社など、上位校の併願校として選ばれる学校が成功しているのは、こうしたバランスの取れた細やかな教育が行われているからでしょう。

 結局のところ、中堅校の最大の強みは「子どもを丁寧に育てる力」にあります。一人ひとりの子どもに合った教育を提供し、その子の強みを伸ばしながら弱点をサポートする。そんな中堅校の教育力が、今多くの保護者から支持されているのです。

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