キャンプに正道も邪道も
正解も不正解もない

 キャンプの楽しみ方は、人それぞれです。「こうしなければいけない」という決まりはありません。「キャンプには焚き火」「バーベキュー」という思い込みは捨てて、好きに楽しめばいい。

 ポータブル電源を持ち込んでゲームやカラオケに興じるのも、タブレット端末で映画を観るのも自由です(ただしその行動が他人に影響を与えないこと、迷惑にならないことが基本です)。

「家でできることをキャンプ場でやって何の意味があるのか」といった意見もありますが、キャンプに正道も邪道も、正解も不正解もありません。私の提案も、あくまで楽しみ方のひとつです。「自分のキャンプ」を楽しんでください。

 今から20年以上前に、キャンプイベントに参加したことがありました。

 私が登山用のテントを地べたに張って、しゃがんで、小さなコッヘル(携帯用の調理器具)で食事をつくっていると、となりのグループはテーブルとイスとコンロを用意して、バーベキューを盛大に楽しんでいました。

 その格差に少し圧倒されながら(笑)、内心、「あんなに豪勢に楽しむ人たちもいるのか!」と戸惑ったことを覚えています。面倒くさがりの私にバーベキューセットを持ち込むという発想はなかったからです。

ごくシンプルな
キャンプの魅力

 私のキャンプは、いたってシンプルです。どちらかといえば「野営」に近い(笑)。

 グランピング(「グラマラス」と「キャンピング」を掛け合わせた造語。オーナーロッジタイプのテントで豪華な食事を楽しむリゾートスタイルのキャンプ)のような優雅さとは真逆です。

 荷物も最小限で最低限。山行中の動きやすさを考えると、荷物は少ないほうがいいので、快適さを多少犠牲にすることになっても構わない。

 テントさえ持たずに、タープ(日差しや雨を防ぐ大きな布)だけで寝ることもあります。タープは軽量であるだけでなく、テントと違って底がないので不整地でも設営でき、その場に合わせた張り方ができます。

 岩がゴロゴロした河原にタープを張って、岩の間で寝る。多少眠りづらくても、テントのように四方を囲まれていないので、自然をダイレクトに感じることができます。

 私の場合、キャンプに豪華さを求めてはいません。なぜなら、キャンプそのものが目的ではないからです。