「人の気持ち」が分からない管理職が組織を滅ぼす
「組織の成功循環モデル」とは、マサチューセッツ工科大学のダニエル・キム氏が提唱した考え方です。業績をはじめパフォーマンスの向上は、どのようにして永続的に生まれるのか。「関係の質」「思考の質」「行動の質」「結果の質」の4つの要素が互いに影響し合い、好循環または悪循環を生み出すという考え方です。
多くの組織は、結果(業績)が悪いと、すぐに「行動」や「思考」を変えようとします。しかし、根本的な「関係の質」が改善されない限り、一時的な効果しか得られず、再び悪循環に陥る可能性が高いとダニエル・キムは指摘します。
つまり、組織を根本から強くするためには、まずメンバー同士の信頼を築き、心理的安全性を確保することが不可欠。信頼関係は、組織風土と言い換えてもいいでしょう。
しかしながら「人の気持ちが分からない」管理職は、いとも簡単に信頼関係を壊します。彼らの口癖は、「仕事に感情を持ち込むな」「仕事なんだからやって当たりまえ」「結果が全てだ」など。部下や後輩を、自分の予算達成の道具にしている管理職も少なくありません。
人の気持ちが分からない管理職は、自己中心的で、部下や後輩の気持ちに寄り添うことはしません。一方で、部下や後輩の感知能力が劣っているわけではないのです。上司が、自分たちの心を見ているのか、それとも売り上げを見ているのか――部下や後輩は、すぐに察知します。
AI時代に必要とされる仕事とは?
「近い将来、AIに仕事を奪われる人が出てくる」と指摘されています。その前兆は起きていて、例えば生成AIの発信元である米国では、GAFA(Google, Apple, Meta, Amazon)でリストラが相次いでいます。AIに置き換わる可能性のある職種が、不要になることを見越しての人員カットです。
今後は、GAFAだけではありません。定型的な業務や進捗管理、情報伝達などを担っていた職種や中間管理職は、AIの台頭によりゴッソリと会社から消えることになります。
では、AIに代替されない仕事とは何でしょうか?
その答えが、「人の気持ちが分かる管理職」です。
「なんだよ、そのオチは」と思う読者もいるかもしれません。しかし、冒頭の若手の言い分は、あながちレアケースでもないのです。筆者が仕事柄お会いする管理職の多くが、人の気持ちを「本当には」理解できていません。この記事を読んで、「いやいや、私は分かっている」と思う人ほど注意が必要です。その過信が、まさに命取りになるからです。
過信している管理職がやりがちなミスとは、ずばり何だと思いますか?