最初はとにかくゆっくりと
柔らかいボールを投げる
基本的な考え方として、相手との関係性が出来上がっていない状態では、“強いボール”を投げること、つまり一方的に決めつけるような話し方をしたり、全体の説明を省略して結論だけを伝えたりすることは避けるべきです。特に初対面でいきなり強いボールを投げるのはお勧めできません。
はじめはとにかく、ゆっくり柔らかいボールを投げることを意識しましょう。
実際のキャッチボールと同様に、肩慣らしから始めるべきです。ウォーミングアップを怠ると、お互いにけがをする原因になってしまいます。
では、仕事において、“ゆっくり柔らかいボールを投げる”とはどういうことか。
具体的には、「敬語や丁寧語を用いる」「断定的な表現や強い否定語を使わない」「背景や経緯などを丁寧に伝える」などが挙げられます。
初対面の人に、比較的フランクな感じで話しかけるスタイルの人もいますが、仕事の現場においては丁寧に振る舞っておいて損はありません。
相手のボール速度を
こちらでコントロールする
こちらが強いボールを投げることは、相手に対して「この速度でキャッチボールをするぞ」という意思表示になります。相手が強いボールを投げ返してきても良いと示しているわけですね。
反対に、こちらが「柔らかいボール」を投げることは、「こういう速度で受け答えをしましょう」というメッセージになります。
中には、相手が前触れなしに強いボールを投げ込んでくるケースがあります。ここで、同じように強いボールを投げ返すべきかは、冷静に考えましょう。
特に一般的な仕事の現場においては、中長期的な関係性を築いていくことが求められます。一時の感情で強いボールを投げ合ってしまうのは極力、避けたい状況です。
例えば、
「君はよくわかっていないね」
「前任者は、もっと気が利いていたよ」
などという強い言葉を投げられたときに、それに呼応して
「あなたのような失礼な人は初めて会いました」
「だったら、前任者を呼び出して仕事すればいいんじゃないですか」
などと返してしまおうものなら、関係がそこで終わってしまいます。