こういう場合に
「ご指摘、ありがとうございます。具体的にどういうポイントを改善すれば、お役に立てそうかご教示ください」
「前任のものが、どのような対応をしていたか、教えていただけますでしょうか?」
などと、にこやかに返す余裕を持てると、相手も拍子抜けして強いボールを投げにくくなります。
厳しい指摘をせざるを得ないときには
「強いボールを投げる宣言」をする
ここまでが基本的な対応方針です。いろいろ書きましたが、要するに「相手がどうであれ、こちらは優しく投げる」ということです。
しかし、仕事の状況によっては「強いボール」を投げざるを得ないシーン、あるいは、投げた方が効果的・効率的であるというシーンがあります。
そうした場合に使えるのが、「今から強いボールを投げ込みますよ」と宣言することです。言い換えれば「しっかり受け取る準備をしてください」という宣言です。
例えば、相手に対するクレームを投げる場合ならば、
「あまりこういうお話はしたくはないのですが、今回のトラブルについては、公式に抗議をさせていただく必要があります。正式なクレームとして、お聞きください」
あるいは、部下や後輩のミスに対して改善指導をする場合は、
「二度と同じミスを繰り返してほしくないし、会社としても同じことを起こすわけにはいかないので、厳しいコメントをするけれど、しっかり受け止めてください」
もしくは、先ほど挙げた例のように、非常に失礼な言い方を相手がしてきた場合には、
「ご意見はありがたく頂戴しますが、今回のご要望は常識的に考えて対応が難しいと考えます。ここからは、対等な関係のビジネスパートナーとして発言させていただきます」
少し異なる状況の例ですが、非常に忙しい状況で、まどろっこしいコミュニケーションをする余裕がないような場合には、
「非常に切羽詰まった状況ですので、前提説明などを省略し、結論だけ申し上げます。また、議論においても、中間プロセスを飛ばして効率重視で進めたいので、みなさま、ご協力ください」
といった具合です。
「これから非常に速い・強いボールを投げるので、覚悟してください」とあらかじめ伝えるわけです。
こうすることで、相手はその場の空気が変わったことを理解し、真剣に話を聞くモードになってくれるはずです。
とはいえ、これはあくまでも応用編です。
そういう空気を好まない人、理解できない人もいますので、特別な事情がない限りは、言葉のキャッチボールは常に「優しいボール」を投げておきましょう。
快適なキャッチボールを続けていれば、仕事は自然と円滑に回っていきますので、職場全体も明るくなりますし、取引先との関係性も良好なものになると思います。