「舞台挨拶に上がらないでほしい」
この告発は、香港の文化・芸術関係者を驚愕させた。いや、実際には文化、芸術、さらには芸能関係者の間で、2019年以降、言論や表現に対する規制が高まっていることはすでに「公然の秘密」となっていたが、荘さんほどの社会的地位にある人がはっきりと自身が受けた処遇を公開で論ずることはこれまでなかったからである。
続けて荘さんは、その公開質問状を発表する直前の8月にも、驚くべき扱いを受けていたことを明らかにした。
8月中旬から下旬にかけて香港カルチャーセンターで演じられた彼女のミュージカル作品『奮青楽与路 SingOut A Musical』で、なんと「舞台挨拶に上がらないでほしい」とプロデューサーから言われたというのである。「初日は特にいろんな人が観に来るので、できれば初日だけでも」と言われたそうだ。
この作品は2017年に少数民族、あるいは視力に障害を持つ人を含めた素人の若者たちで初演され、翌年初めの香港舞台劇アワードでは6つの大賞を受賞したほどの話題作である。コロナ期間には高校生たちの間で教材として演じられ、今回はAPAの学生たちによる再演だった。
その結果、昨年就任したAPA理事会関係者から「なぜこの人物を宣伝するんだ?」と指摘された政策担当者たちは、震え上がった。そしてそんな「お偉いさん」たちが観客席に座る初日に、荘さんに「舞台挨拶しないでほしい」と要請したのである。
荘さんは激怒した。
そして、彼女はプロデューサーにキッパリと言った――これはわたしの基本的権利であり、当然の尊重だ。もし、わたしを舞台に上げないというのであれば、わたしは観客の前で客席から自分の名前を叫びながら舞台によじ上ってやる、と。
「そうすれば、責任はあなたたちにはない。わたしが勝手に一人でやったことだと、上に説明できるでしょ」
その結果、製作グループは初日直前の夜中になって、彼女が舞台挨拶に上がることを認める決定を下したという。