それまでにもおかしな事態は起きていた
実のところ、すでに彼女は気づいていた。ここ数年、学生たちが政府の芸術支援金を申請しようとするとき、演目が彼女の作品である場合、演目の変更を求められたり、いつまでも返事が返ってこないという事態がたびたび起きていることを。
さらに、3本目の告発には、今年の二つの大きな仕事――新しいミュージカル、そして同性愛を描いた作品の再演がそれぞれ昨年末、製作ストップを通告されたと書いていた。
「わたしは空が崩れ落ちたような気持ちになり、寝込んだ。そして、わたしより早くそうやって排除されてきた友人たちのことを思い、恥ずかしくなった。自分はいつも彼らの痛みに共感を覚え、「思い詰めないで」などとアドバイスしてきた。でも、不正義な扱いを受けると、冷静でいることは到底無理なのだ。この間、わたしはこの不当な扱いをどうすれば公にできるかを考え続けた」
面白いことに、舞台挨拶の事件を公開した後、政府の芸術担当関係者が人を介して連絡してきた。「今回は政府がやらせたんじゃない。APAが勝手に『やりすぎた』んだ」と。
荘さんは11月の舞台の中止を宣言、「すでに前売券を購入した人たちは心配しないで。製作者は責任感の強い人たちで、きちんとリファンドする予定だから」と説明している。だが、この書き込みの後、政府の劇場運営を担当機関はわざわざ、「11月の劇場使用予約は維持されている」とする公開声明を出し、上演されるはずだと強調した。
荘さんは最初の9月1日の書き込みに、「これをわたしの墓誌銘にしてもいい」と述べ、はっきりと自ら「荘梅岩の香港舞台生命:2001-2025」と書き込んだ。その直後に冒頭に書いたように、信濃町での舞台公開のために東京入りした。21日まで続く日本語による舞台には連日、わざわざ香港からやってきた香港文化人や文化愛好家が詰めかけている。
荘さんの香港での舞台生命は本当に2025年に終わるのか、それとも彼女の告発が何らかの成果を勝ち取るのか。東京での舞台挨拶を終えて香港に戻った荘さんは、フェイスブックにこう書き込んでいる。
戦後80周年、そしてさまざまな事件に傷ついてきた我々にとっても、重い言葉であろう。作品は21日まで演じられている。残り少ないが、ご興味ある方はぜひ劇場に足を運んでほしい。
