特有のクセが出ないよう、脂の少ない夏のウツボの干物を切って揚げ、代々受け継いだ味付けをしています。
南紀名所の潮岬灯台が描かれた旅情を誘う昭和風味なパッケージは、じつは油が酸化しにくい袋です。さらに、ウツボは良質のたんぱく質とコラーゲン、カルシウムを含むため、美容や健康を気にする人にも向く、栄養食。
知られざるウツボの価値を引き出した、ご当地食です。
温泉地で育んだ
山と海のハーモニー
子持ちこんにゃくとは、少々不思議な名前です。こんにゃくの子って、何?

広島の奥座敷と呼ばれる湯来温泉はコンニャク芋の名産地。名物料理は、昔から「山ふぐ」と呼ばれる刺し身こんにゃくです。創業57年の藤利食品の看板商品のひとつは、この「山ふぐ」を家庭用商品にしたものでした。
商品化したのは同社の先代で、この地の温泉宿で腕を振るった元板前。生で食べても臭みのない自慢の製法の刺し身こんにゃくをさらに一品料理へと高めるなかで到達したのが、「子持ちこんにゃく」です。
魚卵(大半はシシャモの卵を使用)を練り込んだだけでなく味付けにもこだわったのは元料理人の腕、と息子で2代目の伊藤剛社長。一部地元産コンニャク芋を使った、プリップリのこんにゃくとプチプチとはじける魚卵のハーモニーは、オリジナルの組み合わせ。
まさに「珍らし味」だった新商品は30年以上かけ、旅館や地元スーパーの定番の味となりました。
こんにゃくの子は魚卵、そして育ての親は間違いなく藤利食品と言えます。
アワビに似た味は
おせちに不可欠
徳島県南部から高知県室戸岬にかけて広がる室戸阿南海岸国定公園の海岸で水揚げされるという、流子。

アワビを小型にしたようなトコブシのことで、諸説あるなか「海の底の石をひっくり返すと、石についていた貝が逃げようと強い潮に乗って流れていくことから、地元では流子と呼ぶ」と角田商店4代目の角田茂樹社長。