
日本全国に存在する、その土地ならではの「地元食」。その中には、初めて見たはずなのに不思議と懐かしさも感じさせるものも多い。今回は、スーパーマーケット研究家・菅原佳己が実際に47都道府県を旅して見つけた“ご当地食”の中から、新鮮だけどどこか懐かしい“ご当地”のお菓子たちを紹介しよう!※本稿は、菅原佳己『47都道府県 日本の地元食大全』(平凡社)の一部を抜粋・編集したものです。
どれを食べるか
くじ運に任せて
「大王当て」は津軽地方のくじ付き駄菓子で、昔は駄菓子屋で子どもたちを魅了したものでした。大王とは閻魔大王。お金を払って閻魔大王の絵の台紙からくじを引くと、もらえるお菓子の大きさが決まるのです。

大王とも駄菓子とも呼ぶのが忍びないほど美しいその菓子は、白インゲン豆のあんでつくる「練り切り」。当時の子どもには、ごちそうだったはずです。くじの文字が「大王」なら特大サイズがもらえる大当たり。「親」が中で「子」は小と、さぞかしドキドキしたことでしょう。
大王当てのような、くじ付きの駄菓子を津軽では「当物」と呼びます。佐藤製菓は今や唯一のメーカー。約60年前、サツマイモに似せた、くじ付きのあんドーナツ「イモ当て」がヒットし、生き残りました。黄色い断面にそそられますが、じつは白あん。不思議とイモよりもイモっぽいのです。
駄菓子屋に卸していた箱入りを最近は一般にも販売。家庭で消費しやすいプチサイズは大小混ぜて11個入り。
くじ付きで、昔の子どもの歓喜と落胆を疑似体験できます。