麻辣ピーナッツはいくら食べてもその辛さに慣れることはなく、いつ食べても辛く、そしてうまかった。
袋に入っている、小さい花椒の実(だと思われる)を一緒に食べると旨辛い半面、以後30分はよだれとげっぷが止まらないという結構強めな副作用もあり、その刺激の強さは何としてでも眠気覚ましをなし得たい身にとってはむしろ頼もしく感じられた。
まあその副作用が嫌なら花椒の実だけ避けて食べればよい。眠気覚ましには花椒の実なしでも充分すぎるほどである。
かくして車のダッシュボードにはファミマで買った麻辣ピーナッツが数袋常備され、私の安全運転は保証された。今日こうして私がここで生きていられるのは麻辣ピーナッツのおかげといってもまったく過言でない。
自分好みにできる「一人鍋」な感じ
ヘルシーな麺で女性客の心も掴む
「麻辣」がどれだけの辛みうまみをもたらすのかなんとなく理解してもらったところで、麻辣湯が人気を博している理由についてである。
店で提供される麻辣湯は、注文したらその料理が運ばれてくる一般的な提供スタイルと違って、中に入れる具材を自分で選び、麺を選び、スープを選び、その後調理してもらうという半ビュッフェスタイルを取ることが多い。
だから麻辣湯は一応麺料理に分類できるが、日本食的に解釈するなら「一人鍋」と称した方が実態が近くて理解されやすいかもしれない。この自分で選ぶ感じが楽しく、また自分好みの味を実現できるので好評を博しているようである。
自分好みのカスタマイズ可――これが麻辣湯が人気な理由のひとつだが、ここから派生した特筆すべき「人気の理由」もある。
まず、スープの辛さが選べることが多い。辛さを積み上げていくことはもちろん際限なくできるが、辛さゼロの白湯スープが選べる店も珍しくない。辛いのが苦手な人にも門戸を広げているので、辛いものしか出さない店に比べて取りこぼしが少ないのである。
もうひとつが、麺にするものの無限の可能性である。一般的な麺といえば小麦粉で、食べ応えや含まれるグルテンががっつりしがちだが、もっとヘルシーな麺を使うことで女性客からの支持を得ることにも成功している。たとえば都内を中心に全国に店舗を展開する「七宝麻辣湯」では、デフォルトの麺は春雨である。