白木先生の言葉を信じて、私は毎シーズンオフに筑波大に通うようになりました。しかし、通い始めてすぐの頃はその過酷さに白木先生に教えを乞うたことを後悔しました。
壊れる一歩手前だけど
私が見ているから大丈夫
想像を絶するトレーニングの内容はざっとこんな感じです。
起床して約7キロのランニング。朝食後、陸上トラックで260メートル走を50~60本こなします。その後は心拍数が150以下にならない程度の休憩を入れての200メートルインターバル走を60~70本。さらにウエイトトレーニング、スクワットなど(いずれも肉体の限界までチャレンジするようなメニューばかり)朝から晩までトレーニングは続きました。
私が「こんなにやって壊れないんですか?」と聞くと「壊れる一歩手前だけど、私が見ているから大丈夫」と白木先生はこともなげに言います。私は「この人は鬼だ!」と思いました。
しかし、3カ月間桁違いの練習をしたおかげで、私の50メートル走のタイムは29歳にしてそれまでの6秒3を大きく更新する5秒7を記録。「先生の言っていたことは本当なんだ」と私はそれまで以上にトレーニングに打ち込むようになりました。
白木先生から体の仕組みを学び、その意味を理解したうえでトレーニングをすると、投げるボールの質がよくなるだけでなく、新たな発見もたくさんあります。
その後もシーズンオフに先生のもとに通い続けた結果、私の最大筋力値は37歳のときに記録されました。トレーニングを始めた29歳のときよりも筋力が増していたのです。
「限界を超えて、適切なトレーニングを積めば体はどこまでも強くなる」
私が47歳まで現役として登板できたのは、限界を設けず、チャレンジし続けたからです。自分であきらめない限り、限界などというものは存在せず、人は進化を続けられるのです。
フィジカルエリートでも
バランスが悪ければ故障する
プロ野球選手はみんな体格がいいので、とても体力があるように見えます。でも、頑丈なように見えるのに、中には故障の多い選手がいるのも事実です。