
「30歳を過ぎたら体は衰える」と思い込んでいないだろうか?通算224勝をあげた工藤公康は、トレーニングと食事管理によりピークを37歳に引き延ばせたと語る。47歳まで現役を続けた工藤本人が、中年期の体づくりについてその極意を教えてくれた。※本稿は、工藤公康『工藤メモ「変化に気づく、人を動かす」最強の習慣』(日本実業出版社)の一部を抜粋・編集したものです。
30歳を過ぎたら
体は衰えるいっぽう?
私の現役時代は「30歳を過ぎたら肉体のピークを超えるので、そこからは落ちていくだけ」とよく言われていました。30歳前後になったらだんだん体質が変わり、自然に体力も衰えていくというわけです。
20代は体質の変化などもなく、それほど鍛えなくても体はそこそこ動きます。しかし、30歳を過ぎて体質が変わると、急に体が思うように動かなくなったり、力が出せなくなったりして、否が応でも自らの肉体の変化を自覚せざるを得なくなります。
このとき、トレーニングもせずに無理をして動こうとするとケガをします。でも何もしなければ、体力は下降線を辿っていくだけです。
「これから先、どうしていけばいいのか?」
肉体の衰えを自覚し始めていた29歳のとき、私は筑波大学人間総合科学研究群の教授である白木仁先生に出会いました。
「工藤君は40歳まで現役を続けたいですか?」
30歳で肉体はピークを超えると思っていたのでそう返した私に、白木先生は「それはウソです。人間の体は30歳を過ぎても鍛えれば強くなります。自分では限界まで鍛えたつもりでも、人間の限界はそんなものではないんです」と力強く言いました。