一方、たとえ招かれたとしても、それはあなたが過去において代償を支払ったからである。これまでずっとその人物の機嫌を取り、賞賛を浴びせてきたのだ。

 エピクテトスはさらに付け加える。代償を支払わずに宴会の席につくことを期待するのは、貪欲で愚かな人間がやることだ。

 エピクテトスは言う。

 この場合、あなたが社会的ステータスに関心がなかったらずっと楽だっただろう。わざわざ時間を費やして、その人物の機嫌を取らないですんだろうし、たとえ宴会に招かれなくても、心を乱すこともなかったろう。

自由に生きたいなら
他人の反応に無関心でいろ

 ストイックは自由を尊ぶ。したがって、他の人に自分への支配力を与えるようなことをしたがらない。

 だが社会的ステータスを求めれば、当然そうなってしまう。彼らに賛嘆されるように行動し、不興を買うような行為は控えなくてはならない。

 したがってエピクテトスは、社会的ステータスを求めてはいけないとアドバイスする。

 他者を喜ばせるのを私たちの目標にするならば、もはや自分を喜ばせる自由はなくなる。こうして私たちは自分を奴隷にしてしまうのである。

 自由を保ちたいならば、他者が自分のことをどう思っているかに無関心でいる必要があるとエピクテトスは言う。それも他者のすべての反応に無関心でなくてはならない。人から賞賛されたら、されないときと同じように無視すべきなのだ。

 他の人から褒められたら笑い飛ばすのが一番だとエピクテトスは述べている(ただしおおっぴらに笑ってはいけない!エピクテトスだけでなくストアの人びとは、自分が人にどう思われているかに無関心であるべきだとしているが、そのことは隠しておくように言うだろう。相手の考えていることなど気にしないというのは、最悪の侮辱となるからだ)。

失敗してもいい!
死ぬこと以外かすり傷

 多くの人は、失敗への恐怖に悩まされている。その恐怖は、場合によっては彼らの自由を大きく妨げることになりかねない。