「椎茸」に秘められた
3つの健康パワー

 日々の食生活から、これらの静かなるリスクに立ち向かうことはできないのでしょうか? そこで注目したいのが、日本の食文化に深く根付いている椎茸です。椎茸は、ただ美味しいだけでなく、私たちの健康を力強くサポートしてくれるスーパーフードなのです。

1. 高血圧に働く:エリタデニンとカリウム

 椎茸に特有の成分として知られているのが、エリタデニンです。この成分には、血中コレステロール値を低下させる作用があることが動物・ヒト研究で報告されています(※11)。コレステロールが下がることで血流が改善され、血圧安定に寄与すると考えられています。

 さらに、椎茸はカリウムも豊富に含んでいます。カリウムは体内の余分なナトリウム(塩分)を排出し、血圧上昇を抑える働きがあります(※12)。塩分過多になりやすい私たちにとって、血圧管理の重要な栄養素です。

2. 骨を支える:ビタミンD(干し椎茸は特に豊富!)

 骨の健康にはカルシウムが不可欠ですが、ビタミンDがなければ効率的に吸収されません。椎茸に含まれるエルゴステロールは紫外線に当たることでビタミンD₂に変化します。干し椎茸(17.0μg)では生椎茸(0.3μg)に比べビタミンDの含有量が56倍も増加するのです(※13)。

 ビタミンDは骨粗しょう症予防だけでなく、免疫調整にも重要な役割を持つことが知られています(※14)。

3. 免疫を高める:レンチナン(β-グルカン)

 椎茸に含まれる多糖類の一種 レンチナン(β-グルカン) は、免疫細胞の機能に作用することが知られています。研究では、ナチュラルキラー(NK)細胞やTリンパ球などの免疫担当細胞の活性化に寄与する可能性が報告されています(※15)。こうした免疫調整作用を背景に、レンチナンは日本や中国で抗がん剤治療の補助療法として承認され、臨床で使用されている例もあります(※16)。

 ただし、効果の大きさは疾患や治療法との組み合わせによって異なり、日常的な椎茸摂取が同様の効果をもたらすことは科学的に証明されていません。したがって、レンチナンは医療現場で補助的に用いられる免疫調整成分と理解するのが適切です。